江東区新砂エリア 工場集積地が市街地へ(前)
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2020年02月13日 07:00

江東区新砂エリア 工場集積地が市街地へ(前)

 江東区の再開発が熱い。豊洲、有明、青海などのウォーターフロント地区では、東京五輪を控え、五輪施設の建設とともに、レジデンス、オフィス、商業施設の整備が進んでいる。同じく湾岸エリアの「新砂(しんすな)」では、佐川急便の物流施設開発が進められているほか、未利用地も多いことで、商業、住居、医療の複合エリアを目指した再開発計画が進行。注目を集めている。

地名の由来は開拓者「砂村新左衛門」

 江東地区の開発は、徳川家康の江戸入府によるまちづくりとともに始まった。かつての江東区は、利根川や荒川が上流から運んでくる大量の土砂の堆積によってできた洲や島で構成され、「亀島」「大島」「永代島」など島の付く地名が多く、現在の「新砂」は海の底であった。

 新砂の北側一帯は、江戸時代前期に数多くの新田開発を主導した土木技術者・砂村新左衛門によって開発。その開発範囲については史料が乏しいものの、江東区の南砂全域と東砂の一部が該当するといわれている。江戸期を通じて、砂村一族は代々一帯の名主を務め、開墾を続けてきた。そのため、この地域は「砂村」と呼ばれ、明治維新後の1889年には南葛飾郡砂村が発足。1921年には砂村が町制施行して「砂町」となった。

 新砂では、明治期から昭和期にかけて埋め立て工事が行われ、1960年までに概ね完了している。確定した資料はないが、大正期の都市計画用途図によれば工業地域とされ、当初から工場を立地する目的で埋め立てが進められたと推察される。実際に工場も多かった。なお、47年に米軍が空中から撮影した写真(参照)では、新砂3丁目地区は依然として海だったが、戦後の高度成長期に埋め立てられた。67年には、南砂町4丁目の大半と南砂町9丁目を新砂1丁目・新砂2丁目・新砂3丁目とし、ここで「新砂」という地名が誕生した。

1947年に米軍が空中撮影した新砂地区(出典:地図・空中写真閲覧サービス、国土地理院)
1947年に米軍が空中撮影した新砂地区(出典:地図・空中写真閲覧サービス、国土地理院)

混雑緩和に向け南砂町駅で改良工事

新砂の顔である東京メトロ「南砂町駅」
新砂の顔である東京メトロ「南砂町駅」

 69年には新砂地区の顔ともいえる東京メトロ東西線「南砂町駅」が開業。東京都は、約31haにおよぶ新砂土地区画整理事業を施行し、新砂地区を新しい複合市街地とするため、道路、公園等の都市基盤整備を実施。工事は98年から2004年にかけて行われた。

 この土地区画整理事業によって、放射16号線および環状4号線の都市計画道路の整備や、南砂町駅南口での交通広場の整備が行われた。地区内には東京江東高齢者医療センターや東京都立東部療育センターなどの医療・福祉施設を誘致。区画整理事業の事業費は73億円だった。この期間に、永代通りの延伸も実施。千葉方面から都心の日本橋を結ぶことになり、利便性が高まった。

改良工事の最盛期を迎える南砂町駅
改良工事の最盛期を迎える南砂町駅

 東京メトロ・南砂町駅では現在、ラッシュ時の都心方向列車運行の遅延吸収機能をもたせるための改良工事が行われている。工事内容は、ホームと線路の増設による2面3線(2ホーム+3線路)化や、ホームの拡幅、階段・エスカレーターの増設など。2面3線化工事では既存ホームの南側を拡幅し、新たなホーム1面を設置する。完成すれば、真ん中の線路に列車を発着させることで、同一方向列車の交互発着が可能となり、列車遅延時には後続列車をホームへ着けられるようにすることで、混雑の緩和につながる見込み。

 施工は始端部工区が熊谷組、中央工区が大成建設・竹中土木JV、終端部工区が大林組・前田建設工業・西武建設JVがそれぞれ担当している。工事完了は2027年を予定。

フジタの施工で順調に工事は進む
フジタの施工で順調に工事は進む

新砂の再開発対象面積は79ha

 歴史の浅い新砂地区だが、江東区は新砂2・3丁目でまちづくりに乗り出すことを発表した。IHI砂町工場跡地開発を契機として、改定中の「江東区都市計画マスタープラン」の「南砂都市核」と「湾岸地域」にふさわしいまちの在り方を検討するため、19年12月には「新砂二・三丁目まちづくり連絡会」を設立。地域の課題整理など必要な検討を行っていく。対象地域は、南砂町駅や永代通りの南側と明治通りに面する西側の約79haで、区の担当者は、「まちづくり方針は問題がなければ6~9カ月でまとまりますので、それが当面の目標です。策定後2~3年の間に、順次工事が進むと考えています」と話す。

 連絡会設立以前に、江東区は新砂地区計画を決定していた。工業地域がメインであった新砂2・3丁目、南砂3・7丁目各地内の約33.1haについては、商業、住宅、医療などの都市機能が複合した市街地の形成を行うことを公表し、これに沿ったかたちで土地利用を進める計画だ。新砂地区は未利用土地も多く、今後の再開発への期待も寄せられていた。そこに連絡会設置のニュースが飛び込んできたことで、一躍注目を集めている。

新砂地区の東京都の未利用土地(住宅・医療地区)
新砂地区の東京都の未利用土地(住宅・医療地区)

(つづく)
【長井 雄一朗】

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