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2020年02月13日 17:00

歴史をつなぎ、信用をつなぎ、事業をつなぐ(前)

(株)未来図建設 代表取締役 菅原 正道 氏

 創業118年目の老舗企業(株)未来図建設。同社は地場総合建設業として、中高層ビル・マンションをはじめ、医療・福祉関連・物流・商業および公共施設、ガソリンスタンド、戸建住宅など多岐にわたる設計・施工を行っている。常に時流に沿いながらの事業構築は、顧客からの絶大な信用を得ている。それでも現状に甘んじることなく、新たな挑戦をし続ける。同社の今、そしてこれからを代表取締役・菅原正道氏にうかがった。

好況が続くも

 ――月並みですが、今期業績を含めた貴社の現況についてお聞かせください。

(株)未来図建設 代表取締役 菅原 正道 氏
(株)未来図建設 代表取締役 菅原 正道 氏

 菅原氏(以下、菅原) 今期は、前期(2019年4月期)の78億2,935万円の完工高より微増する見込みです。85億円前後の完工高を見込んでおります。その数字については特別な要因はありませんが、以前は1つの現場で3〜4億円規模の受注が主流であったものが、近年は5億円以上の規模の大きい工事が増加してきております。よって、5〜10億円の数字変動は、増加・減少とも発生いたします。

 つまり、完工高の計上は当期であるのか、次の期になるのか竣工によって変わります。建設業の動向については、3期を通して見ていくことが肝要かと存じます。たとえば当社の例で申しますと、前々期(18年4月期)は120億円の完工高で、大型工事を4件その期に竣工したことでの結果でした。前期はその反動で、完工高は減少いたしました。その反動の“振れ”を極力小さくしていくことが経営であります。それは、通期で一喜一憂することなく、中長期的な視野での経営判断を行っていくこととなります。

 ――5〜10億円規模の大型工事の受注が増加傾向ですか。

 菅原 それらの規模の大型工事の受注は、増加してきております。都心部と郊外での工事において、建物の容積率が違ってきます。都心部の案件は郊外より容積率は高いです。必然的に都心部の工事は、5〜10億円規模の完工高の案件が中心となります。

 ――現在、好況である福岡県建設業の市況のこれからの動向について、どのように考察されておりますか。

 菅原 結論から述べますと好況は継続しないでしょう。ただ、建設業は現在の景気より約1年遅れでの市況になります。なぜなら工事期間は1年前後であるからです。たとえば現在景気が後退していたとしても、工事の受注、着工、竣工まで1年間あるので、我々建設業がその後退を実感するのは、1年後となるのです。その逆もしかりで、景気が回復・好況となった1年後に実感するのです。

 よって当社含め建設業界は、これから1年後は引き続き堅調に推移するでしょう。ただし2年後以降は未知数です。需要は大きく下降する可能性があります。今年の東京五輪がターニングポイントといわれているなか、25年大阪万博の建設需要が発生いたします。しかし、どれほどの需要増となるのかは現状予想がつきません。ただ明らかであるのは、バブル時代の短期間はありましたが、現状の建設好況は初めてではないでしょうか。つまり、建設業においては「市況が悪くなる」と表現するより「通常に戻った」が正しいのではないかと思います。どのように市況が変動しようとも、私たちは常に準備しておかねばなりません。

自ら挑む姿勢を鮮明に

 ――話は変わりますが、貴社の経営哲学・指針である『挑戦む(いどむ)』『傾聴く(きく)』『継承ぐ(つなぐ)』の本質や中味についてお聞かせください。

 菅原 “いどむ”については、常に挑戦することです。“このままで良い”という姿勢では、後退しそして淘汰されるでしょう。日々進化し、新しいことに挑む姿勢が大事です。新たなことを考え、挑戦することこそが前進し進化する中核となるのです。全員がその姿勢を維持することが大切です。まずは、私自身が先頭に立って挑戦することを実践していくことです。私が挑戦することを明確にすることが、当社全体のモチベーションを高め、一丸となって挑戦することにつながっていきます。

 ――菅原社長が挑戦されていることは何でしょうか。

 菅原 建設業は、お客さまとの長いお付き合いになります。建築物を引き渡してからが本当のお付き合いです。そのためには、企業が存続していかねばなりません。当社が永続するためには、適正な収益を上げていかねばなりません。収益を上げるには、前述した通り挑戦することです。その挑戦とは、事業の拡大です。拡大とは、営業エリアを広げることです。それが東京支店です。そして、営業の新たなバリエーションを強化していくことは不可欠です。具体的には、建設におけるアイテムをさらに増強することです。これらの取り組みに対して、私自らが研究し、実践する姿勢を見せていくことです。つまり、自らが思考し計画・立案して、実行する姿と馬力を見せることが大切なのです。

 ――“きく”についてはいかがでしょうか。

 菅原 人の話をよく聴くということです。たとえば、当社社員の話をじっくり聴くことです。社員は“何を思い、どうありたいのか、会社に何を求めているのか”。

 これらはお客さまも同じです。私が“きく”姿勢を鮮明にすることで、お互いの意志を共有していくことが大切です。もちろん、聴くことすべてを体現することはできませんが、まずは聴くことこそ「どうすればできるのか」という出発点になります。各人の立場で目線を同じにして、丁寧に聴くことが大切です。社員においては、開放的な姿勢でのコミュニケーションを心がけております。自身が社長という役割を担っているだけで、人間としての上下は存在しません。社長という役割と“人間として上”を混同してはいけないのです。そのうえで、社員全員が会社と職場が“好き”であることが大切で、それがすべての始まりであると確信しております。会社が“好き”であることが、モチベーションの原動力となります。

(つづく)
【文・構成:河原 清明】

<プロフィール>
菅原 正道(すがはら・まさみち)

 1954年3月13日福岡市生まれ。福岡大学卒業。79年4月、(株)未来図建設(旧・福岡金子組)に入社し、常務取締役に就任。91年1月、同社取締役副社長を経て、93年11月、同社代表取締役社長に就任。

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