
安倍首相が新型コロナウイルス感染症対策として、全国小中高に休校を要請したことを受けて、学習塾各社も対応に追われている。現時点では、学生や保護者に対して予防措置を訴えるところから、早々と全教室の休校を打ち出す塾まで対応がわかれているが、当面は休校にせざるを得ないだろう、というのが業界内の大方の見方だ。学校を休校にしたにもかかわらず感染が広がっては、その責任を問われかねないからだ。
当然ながら、学習塾にとって休校は業績の下振れ要因となる。集団指導の塾、個別指導の塾など、塾の形態によって影響は異なるが、それ以上に、講師の雇用形態が大きな影響を与えそうだ。講師が学生のアルバイトであれば、休校に対して講師を抑制することが可能だが、講師を社員として抱えているところは、そうもいかない。塾にとってコストとなる講師の給料が、重荷となってしまうからだ。影響がいつまで続くか不透明な状況では、大きな不安要素である。
またサービスのIT化の進展度も重要になる。通常時であれば、塾の補完的なサービスであるITを活用したサービスが、塾に通えない状態が続けば、今後は重要な役割を担う可能性もある。ただITを活用したサービスを強化するにも、新たな設備投資負担を強いられることになる。
業界関係者は「今回のコロナウイルスの影響で体力がないところは潰れるだろう。M&Aの加速など業界再編も進むのではないか」と予想する。この混乱した状態をどう乗り切るかで、それぞれの学習塾の明暗がはっきりと別れそうだ。
【緒方 克美】
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