2024年04月29日( 月 )

九州地銀の「20年3月期 第三四半期決算」を検証する(4)

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 【表1】は九州地銀18行(含むFG・FH)の20年3月期(通期)の経営成績推移表である。

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 (1)を見ていただきたい。九州の3金融グループ(FH・FH)の20年3月期(通期)の当期純利益(予想)順位表である

~この表から見えるもの~

 当期純利益が1位はふくおかFG。前期比+968億5,100万円の1,485億円(187.5%増)とほぼ倍増を予想。19年12月期の目標達成率は98.3%となっており、100%を大きく上回りそうだ。その要因は十八銀行と経営統合したことにともなう特別利益「負ののれん発生益1,174億3,300万円」によるもの。

 特別利益を差し引くと前期比▲205億8,200万円の310億6,700万円(▲39.8%)と大幅な減益。

・2位は前期3位の九州FG。前期比+5億9,800万円の228億円(2.7%増)。目標達成率は72.3%。
・3位は西日本FH。前期比▲18億9,900万円の210億円(▲8.3%)と減益。目標達成率は73.0%となっており、2グループとも達成可能な計数となっている。

 (2)を見ていただきたい。九州地銀(18行)の20年3月期(通期期)の当期純利益(予想)順位表である

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~この表から見えるもの~

1位~7位までは第一地銀が占めている。

 親会社に帰属する当期純利益(予想)の1位は福岡銀行。前期比▲39億800万円の464億円(▲7.8%)。19年12月期の目標達成率は74.4%となっている。

・2位は西日本シティ銀行。前期比▲19億7,000万円の180億円(▲9.9%)。目標達成率は70.4%。
・3位は九州FG傘下の肥後銀行と鹿児島銀行の2行。肥後銀行は前期比▲4億9,500万円の120億円(▲4.0%)。目標達成率は90.6%。一方、鹿児島銀行は前期比▲2,400万円の120億円(▲0.2%)。目標達成率は75.3%となっており、肥後銀行が優位にある。
・5位は宮崎銀行。前期比▲21億2,900万円の76億円(▲21.9%)。目標達成率は73.2%。
・6位は大分銀行。前期比▲10億5,900万円の47億円(▲18.4%)。目標達成率は83.1%。
・7位は北九州銀行。前期比+9億6,600万円の35億円(38.1%増)。目標達成率は61.7%。九州地銀18行のなかで、一行だけ前期比プラスを予想している。
・8位熊本銀行。前期比▲7億6,500万円の30億円(▲20.3%)。目標達成率は85.1%。
・9位は佐賀銀行。前期比▲6億3,600万円の20億円(▲24.1%)。12月期の当期純利益は23億3,300万円で目標達成率は116.7%で、100%を超えている。

 10位は筑邦銀行と南日本銀行の2行。筑邦銀行は前期比前期比▲1億3,500万円の7億円(▲16.2%)。目標達成率は144.6%。南日本銀行は前期比▲6,200万円の7億円(▲8.1%)。目標達成率は190.6%。

・12位は宮崎太陽銀行。前期比▲4億4,100万円の6億円(▲8.1%)。目標達成率は153.5%。
・13位は豊和銀行。前期比▲6億4,500万円の4億9,000万円(▲56.8%)。目標達成率は194.9%。
・14位は福岡中央銀行。前期比▲2,900万円の4億5,000万円(▲6.1%)。目標達成率は104.7%。
・15位は親和銀行。前期比▲37億7,900万円の3億円(▲92.6%)。目標達成率は94.3%。
・16位は佐賀共栄銀行。前期比▲6,600万円の1億9,000万円(▲25.8%)。目標達成率は266.8%。
・17位は長崎銀行。前期比▲1億7,500万円の5,000万円(▲77.8%)。目標達成率は142.0%。
・18位は十八銀行。前期比▲122億7,000万円の▲80億円(▲287.4%)。今年10月1日に親和銀行と合併して十八親和銀行として発足する。

<まとめ>

 19年12月期の達成率が75%を下回っているのは福岡銀行、西日本シティ銀行、宮崎銀行、北九州銀行の4行。3行は70%台に乗っているが、北九州銀行は61.7%となっている。

 一方、100%を超えている銀行は赤字予想の十八銀行を除き、佐賀銀行、筑邦銀行、南日本銀行、宮崎太陽銀行、豊和銀行、福岡中央銀行、佐賀共栄銀行、長崎銀行の8行。

 19年12月期の計数から見ると、20年3月期(通期)の当期純利益は、全行とも予想通りに着地するものと思われたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は大きく、予算達成は厳しくなったのではないだろうか。

(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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