2024年03月29日( 金 )

天神とWFの結節点 須崎公園&市民会館がリニューアルへ

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エリア全体(鳥瞰)
エリア全体(鳥瞰)

新たな文化施設は24年3月開業予定

 福岡市が2019年4月から公募を行っていた「福岡市拠点文化施設整備及び須崎公園再整備事業」の落札者として、日本管財(株)九州本部を代表企業とする企業グループが決定した。同事業では、福岡市民会館の後継施設となる約2,000席の大ホールを備えた拠点文化施設を整備するほか、水辺に開かれた新たな公園を整備する。先行して文化施設が24年3月に開業し、26年3月に公園の全面供用開始を予定している。

 同事業は、市民会館の現在の機能を継承しながらも、文化芸術を取り巻く環境の変化を踏まえて、福岡市における文化振興の拠点となる新たな施設として整備することを目的としたもの。また、隣接する須崎公園とともに一体整備・活用することで、両施設の魅力が合わさった緑あふれる文化芸術空間を創出し、市民だけでなく、国内外から多くの人々が集うエリアの形成を目指していく。事業は、民間事業者が施設の建設を行い、施設完成直後に福岡市へと所有権を移転したうえで、民間事業者が維持管理および運営を行うPFI-BTO方式で実施。

 事業期間は、今年6月の事業契約締結から39年3月末まで。決定した事業グループは代表の日本管財のほか、戸田建設(株)九州支店、(株)JTBコミュニケーションデザイン、九州林産(株)、占部建設(株)、照栄建設(株)で構成され、さらに協力企業として(株)梓設計 九州支社、(株)俊設計、(株)戸田芳樹風景計画 東京本部、(株)サン・ライフ、古賀緑地建設(株)が参画する。落札価格は約208億7,140万円。

 今回の事業対象エリアは、県道554号を挟んで、市民会館側1万573.63m2と、須崎公園側2万9,602.07m2の2つに分かれている。まず先行して須崎公園側に新たな拠点文化施設を建設するとともに、新施設周辺の公園内を整備。その後、新施設に市民会館の機能などを移管してから、今度は市民会館を取り壊して、その跡地を水辺に開かれた公園として整備していくという流れになる。

 新たな拠点文化施設は、隣接する公園との調和や周辺との動線計画にも留意されたデザインとなっており、大ホールのほかにも、中ホール(約800席)や文化活動・交流ホール(約150席)などを整備。また、新たな公園は那珂川に隣接するという立地を活かし、水辺に開かれた公園として整備が進められ、芝生広場や飲食施設などが設けられる予定となっている。

拠点文化施設(外観)
拠点文化施設(外観)

一体整備により老朽化イメージ刷新へ

 今回、再整備が行われる須崎公園は、福岡市が管理・運営する都市公園であり、1951年に開園したもの。園内には噴水塔を備えた人工池のほか、野外音楽堂が設けられており、以前はチューリップや武田鉄矢などがここでコンサートを行っていたとされる。63年には北側の隣接地に、当時市内最大級のホールを備えた「福岡市民会館」が開館したほか、翌64年には公園内に、図書館と美術ギャラリーの併設施設として「福岡県文化会館」が開館。県文化会館はその後85年に図書館を分離し、全面改装を経て「福岡県立美術館」としてリニューアルオープンした。

 市民会館と県立美術館という2つの文化拠点があったことで、福岡市内における芸術・文化の発信地として、そして天神北エリアにおける緑の憩いの場として、多くの市民に親しまれてきた。

 だが、開園から70年近くが経過し、噴水や野外音楽堂などの公園施設全体の老朽化が進行。園内の樹木の剪定や除草なども行き届いてはおらず、そのうっそうとした雰囲気から、近年では市民の足も徐々に遠ざかっていた。

 また、隣接する市民会館や県立美術館でも老朽化が進行しており、エリア全体のイメージが低下。そうした要因から、改めて拠点文化施設と須崎公園のランドスケープが融合した一体的で魅力的な公共空間の創出に取り組むべく、今回の再整備事業が検討されていった。なお、公園内の県立美術館については、すでに県が大濠公園への移転を決定しており、移転後も現在の建物を補完的に活用する方針を示している。

 須崎公園および市民会館の立地する場所は、天神エリアとウォーターフロント(WF)エリアとの結節点にあたる。今後、須崎公園と文化施設とが一体整備されることで、この場所に新たな賑わいを創出するだけでなく、両エリアを結んで回遊を促すという役割が期待されている。

【坂田 憲治】

日本管財(株) PPP・PFI推進部

 天神エリアとWFエリアの結節点という非常に高いポテンシャルをもったこの場所で、2,000席の大ホールを備えた拠点文化施設や、水辺に開かれた公園を整備することで、新たな賑わいの創出はもちろんのこと、市民の文化活動がより活発化するよう、寄与していきたいと考えています。また、WFのMICE施設とも連携して、ときには受け皿になりながら、相乗効果を発揮できればと思います。

 6月に予定されている事業契約を無事に締結し、市民の皆さまにとってこのエリアが、日常的に気軽に遊びに来ていただけるような場所である一方で、“ハレ”の場にもなり得るような、そういう場所にしていきたいですね。

拠点文化施設(大ホール)
拠点文化施設(大ホール)

住宅都市局 花とみどりのまち推進部 みどり政策課

 福岡市では「人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」を目指しており、都市公園を始めとする都市の緑とオープンスペースは、都市の防災性向上、憩い・レクリエーション、コミュニティ活動の場の提供、良好な都市景観の創出、個性的で魅力ある地域の形成など多様な役割を果たし、安全で豊かな市民生活を実現するうえで欠かすことのできない社会資本です。

 須崎公園につきましては、天神エリアとWFエリアを結ぶ新たな回遊拠点として、拠点文化施設と一体的に整備・活用することで、両施設の魅力が互いに重なり合い、緑あふれる文化芸術空間を創出し、市民だけでなく国内外から多くの人々が集う、福岡市の新たなランドマークとなるようなエリアが形成されることを期待しています。

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