2024年03月29日( 金 )

中国経済新聞に学ぶ~初めて1人あたりGDPが1万米ドルを超えた

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 中国国家統計局の統計によると、2019年の中国の国内総生産(GDP)は100兆元の大台に迫った。年間の平均為替レートを基に計算すると、1人あたりGDPは1万276米ドルで、1万米ドル台に乗った。1人あたりGDPが1万米ドルを超えることは、中規模以上の人口を抱える国にとって重要な節目となる。中国財政科学研究院院長・劉尚希氏は新華社の単独取材に対し、1人あたりGDPが1万米ドルを突破したことは中国にとって、総合経済力が以前に比べ飛躍的に向上したことを示しており、歴史的なブレイクスルーになると話した。

 1人あたりGDPは各国の経済発展水準を比較する主要指標だ。2001年に1000米ドルだった中国の1人あたりGDPは、それから20年足らずの2019年に1万米ドルまで大幅に増加した。

 統計によると、中国の経済総量は1986年に1兆元を、2000年に10兆元を上回った。中国は2010年に世界第2位の経済大国となる。経済総量はここ数年10兆元ずつ増えており、2016年に70兆元を、2017年に80兆元を、2018年に90兆元を超えた。

 14億人の人口を抱える大国が1人あたりGDPで1万米ドルを超えたことは、人類史上の奇跡ともいえる。「国、社会、人の発展、国民生活の改善、国の総合力は経済成長の基盤となる。この点からみると、1人あたりGDPが1万米ドルを超えたことは、中国の経済力が強くなり、国際的地位も向上したことを意味する」と劉氏は話した。

 2018年時点で1人あたりGDPが1万米ドルを超えていた国の総人口は約15億人だったが、中国がこのラインを突破したことで、その総人口は一気に30億人近くまで増えた。「これは、発展途上の新興経済国としての中国による世界貢献だ」。国家統計局局長・寧吉喆氏はこのような見解を示す。

 劉氏は、グローバルガバナンスにおける大国としての作用をどのように発揮していくかが、中国のこれからの課題になると説明。「我々は歴史的にも偉大な成果を上げたことを喜び、誇りに思う。一方で、さらに多くの試練を迎える可能性があり、多くの責任を担うことにもなる」としている。

 1人あたりGDPが1万米ドルを超えたことは、歴史的に象徴的な意義をもち、新たなスタートラインにもなる。劉氏は、過去に経済成長を追求した時は物質と財産の豊かさを求めていたが、成長と発展は異なり、貧富の差を縮めるものでもなかったと説明。現在は、スタートラインに立つチャンスを公平にすることを目指しており、そのために最も重要なのが都市間、集団間、地域間などにある能力の格差を縮小することとの見方を示した。

 では、教育や健康といった人的資本の蓄積でこうした格差をどのように縮小するのか?これについて劉氏は、基本公共サービスの均等化を通じて人的資本の蓄積を促進するために、長期にわたる持続的な努力をしなければならないと答えた。人を重視して都市や地域などの能力格差を縮小すれば、1人あたりGDPが1万米ドルという節目を突破した後も、スムーズに試練に対応することができるとみている。


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