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2020年04月01日 14:30

【コロナに負けない(8)】中食需要に応えてダメージを最小限に~唐揚げ専門店「博多とよ唐亭」

(株)喰道楽

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けての外出自粛要請などの影響による経済の冷え込み――いわゆる“コロナショック”が日本中に広がっている。なかでも、とくに影響が大きいのは飲食店だ。例年なら歓送迎会や花見シーズンにあたるこの時期だが、今年は外出自粛で宴会などのキャンセルが相次ぎ、通常の来店者数も激減。“開店休業”を余儀なくされるなど、店舗の規模の大小を問わず、あちらこちらで閑古鳥がけたたましく鳴いている状況だ。

 そうしたなか、飲食業態でありながら、コロナショックの影響をうまく最小限に抑えられている店がある。

今年2月にオープンした「今泉店」(中央区)

 「毎年の花見シーズンに多くの需要があるオードブル商品については、こうした状況ですので、今年はほぼゼロになっております。一方で、持ち帰り唐揚げ弁当の販売は増えています。トータルでは、プラスマイナスのややプラスでしょうか」――と話すのは、唐揚げのテイクアウト専門店「博多とよ唐亭」を展開する(株)喰道楽の代表取締役である豊永憲司氏。同店の目立つ赤い看板のなかで、調理衣姿で指差しポーズを決めている“あの男性”だ。

 同店の場合は、「テイクアウト専門」という店舗形態がまず奏功した。イートインスペースなども設けていないため、お客が店内に入ることはない。注文するときも、商品を待つ間も、そして受け取るときも、お客は基本的に空気が自由に循環する店外の空間にいることになる。政府が感染拡大のリスクを高める環境として挙げる「換気の悪い密閉空間」とはまったく異なることで、お客が同店に足を運ぶにあたっての抵抗感や忌避感はかなり少ないといえよう。

 そうした店舗形態に加え、「外食するのは控えたいけれど、でも家で料理するのもなぁ…」というような需要にうまく合致した、いわゆる“中食”業態ということも良い方向に働いた。福岡都市圏を中心に店舗網を拡大している同店は、駅周辺や幹線道路沿いなどの利便性の良いエリアに集中的に出店。主なターゲットは、女性や学生などの単身世帯や、若い夫婦に子どもを含めた家族世帯などだ。主力の唐揚げ弁当のほか、1個からでも注文可能な単品での販売も行っており、若者を中心とした単身者世帯では弁当が、家族世帯では単品での販売が好調だという。

 さらに、飲食に携わる業態として、従前から清潔感を保つための徹底した衛生管理が行われていたことも大きい。各店舗には、コロナウイルスだけでなく、ノロウイルスやインフルエンザなど、さまざまな菌やウイルスに対して効果があるとされる「次亜塩素酸水」を配備。日ごろから除菌やウイルス除去に努めていただけでなく、清掃にも力を入れていたことで、保健所からの検査でも「ここ本当に営業しています?キレイすぎません?(笑)」といわれるほどの清潔さを保っていたという。

 これらの要因が重なり、同店の唐揚げ弁当の販売が通常時よりむしろ好調というのも、納得の話だ。

揚げ立てアツアツ&ジューシーさが人気の同店の唐揚げ

 もちろん同店においても、新型コロナの影響がまったくなかったかといえば、そうではない。前述のオードブル需要ゼロもその1つだが、それ以外にも、各店舗を運営しているスタッフのなかには、子育て世代のパートさんも多くいる。となれば、先の全国一斉の休校要請によって、そうしたお子さんを抱えたパートさんらが休業を余儀なくされたことで、シフト調整には苦労する面も多くあった。だが、幸いにして、同店では各店舗間の距離が比較的近く、人手の足りない店舗に近隣の店舗から都合することで、スタッフを相互に補完しながら、何とか切り抜けることができたという。この各店舗間の距離が近いというのは、効率性を重視したうえでの同店の出店戦略に基づくものだが、それが図らずしも良い結果をもたらしたのだ。

 さらには“運”も味方した。実は同店は昨年、海外1号店としてベトナムへの出店を検討していた。だが、現地での市場調査を進めるうちに、現地の食文化と同店の提供する唐揚げ弁当とのミスマッチを感じたことで、「まだまだ時期尚早」として、最終的には出店を断念した経緯がある。また、ベトナムに替わる海外1号店として、今度は台湾の台北近郊での出店を検討し、出店のための現地法人の設立準備も進めていた。だが、ちょうどそのころに、新型コロナの世界的な流行が顕著になり、この台湾での出店計画もストップを余儀なくされてしまった。とはいえ、幸い現地店舗との契約などはまだだったため、実質的なダメージはゼロだったという。

(株)喰道楽 代表取締役 豊永 憲司 氏

 「もし昨年、ベトナム店を出店していたら、もしくは新型コロナの世界的な流行が、台湾出店後だったら…。いずれの場合も、影響は避けられなかったでしょう。運が良かったとしか言いようがありませんね」(豊永社長)と、ホッと胸をなで下ろす。もちろん今回の件で、海外進出を諦めたわけではない。世界的な新型コロナの流行が終息した暁には、改めて台湾1号店の出店に向けて動いていくという。

 「今回の新型コロナの影響については、今のところは幸いにしてダメージを最小限に抑えることができています。とはいえ、今後どのような事態になってくるかわかりませんから、まだまだ油断はなりません。これまで以上に各店舗を清潔に保ち、スタッフの皆さんの健康面・安全面にも十分配慮しつつ、お客さまへの安全・安心で美味しい唐揚げの提供を行いながら、しっかりと踏ん張っていきたいと思います」(豊永社長)。

 テイクアウトの“中食”という業態や店舗形態に加え、従前からの清潔な店舗や店舗間の人員連携などにより、新型コロナに負けずに善戦している「博多とよ唐亭」。このまま無事に“コロナショック”を乗り越えることができたなら、海外進出も含めた新たな躍進に向けての同社の基盤は、さらにしっかりと踏み固められていることだろう。

【坂田 憲治】


<COMPANY INFORMATION>
(株)喰道楽

代 表:豊永 憲司
所在地:福岡県糟屋郡粕屋町若宮2-22-14
設 立:2009年9月
資本金:1,000万円
TEL:092-939-6677
URL:http://toyokara.com/

▼関連リンク
「博多とよ唐亭」HP

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