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2020年04月16日 07:00

新型コロナウイルスは第3次世界大戦の幕開けか(4) 未来トレンド分析シリーズ 

国際未来科学研究所代表 浜田 和幸 氏

 実は、海外に展開中の800カ所の米軍基地の多くで、感染者の報告が相次いでいた。現時点ではそうした報道は規制されているが、日本の横須賀基地でも米軍兵士や関係者の感染は問題となっており、厚木基地内に特別の隔離病棟を設置するなど、在韓米軍の感染者を含む患者の搬送受け入れ態勢の整備も進んでいる。

 しかし、こうした米軍内の感染拡大に関する情報はアメリカ軍の即応体制の脆弱性を露呈することになるため、今では家族を含めて感染者情報は一切表に出ない措置が取られている。それだけ事態は切迫しているということだ。エスパー国防長官は「アメリカの外にいる米軍の移動を60日間停止する」という異例の命令も発した。

 戦争の手段にはいくつもの武器が想定される。目前に広がる生物化学兵器の可能性を秘めた病原菌を拡散させるのも新たな武器かもしれない。では、こうした新たな戦争を仕掛けているのは誰なのか。国家であるのかテロ組織であるのか。その狙いは何か。そうした観点での情報の収集や分析が日本ではまったく行われていない。自分たちがそうした戦争を仕掛ける考えがないからだろうが、人類の歴史は戦争の歴史といっても過言ではない。ただ、戦争の形態は時代とともに変化している。平和を守るためには、こうした進化する戦争に関する研究も必要である。

 アメリカにせよ、中国やロシアにせよ、核兵器を開発、保有するのに劣らぬ資金と人材を投入し、それらの国々はさまざまな生物化学兵器の開発に取り組んできている。かつてアメリカはキューバやベトナムに対して大量の枯葉剤などを投下し、その後遺症は世代を超えて被害者を苦しめてきた。

 ところで、「転んでもただは起きぬ」のがモットーで、破産倒産を何度も潜り抜けたトランプ大統領は、非常事態宣言を発した裏側で、しっかりとファミリー・ビジネスのチャンスを手にしようと動いている。何かといえば、新型コロナウイルス対策のワクチンと特効薬の開発である。潤沢な政府資金を娘婿のクシュナー氏の関係する製薬会社に流し込もうという算段だ。アメリカでは新たなスキャンダルに発展する可能性が出てきた。

 特効薬をめぐっては、中国企業はいうにおよばず、ドイツや日本の製薬メーカーもしのぎを削っている。もちろん、アメリカ企業も例外ではない。そんな中、トランプ大統領はCOVID-19対策チームを立ち上げ、ペンス副大統領を責任者に指名した。しかし、それとは別にクシュナー氏をトップとする「シャドー対策本部」の設置も認めたのである。クシュナー氏曰く「緊急時には政府機関や役人では対応が遅い。民間のエキスパートを集めて、早急な感染防止策を打ち出す」。

 すでにクシュナー氏の肝いりで、身内の関係する製薬会社「オスカー・ヘルス」では新薬の試験を始めた。その上、診察を希望する人たちを最寄りの医療機関に紹介するアプリの開発も進めている。こうした開発に係わる経費は全額、国の緊急予備費で賄うという。
 過去にも数々のワクチンが開発され、市場に投入されたが、副作用で想定外の人命が失われるケースも頻発している。きちんとした動物実験や治験を経ない急ごしらえの「利益優先」の特効薬ほど危険なものはないだろう。アメリカ政府も今回のコロナについては「発生原因が特定できない」と見方を変えており、「ほかの病原菌に効果があった」との理由で試験的に投与されている試薬も多いといわれるが、その効果のほどには慎重な見極めが求められる。

 現時点において、アメリカ政府は「第3次世界大戦を勝ち抜く」との思いで、さまざまな戦略を打ち出している。しかし、国防関係者の危機意識と、この期におよんで私利私欲に走るトランプ大統領一族の動きには大きなギャップがある。アメリカの屋台骨を崩そうと意図する勢力は、そうしたギャップこそ超大国のアキレス腱と見なしているのだろう。

 単なる新たな感染症の蔓延ではなく、新たな戦争の始まりという危機感に基づく国防政策が功を奏するのか。超大国アメリカが「アメリカ・ファースト」と内向きになり、いまだにファミリー・ビジネスに執着する最高責任者が権力の座にある機会を目の当たりにする現在、超大国の座を奪おうとするどの勢力がこれから勝利するのか興味深い。

 いずれにせよ、すでに見てきたように、未知の病原菌は増える一方である。各国が「自国ファースト」に執着していれば、全人類が奈落の底に落ちていく運命を甘受するしかないだろう。見えない敵のベールを剥がし、その恐れの源を拭い去る科学的な共同戦線を形成せねばならない。残された時間は少ない。

(了)

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)

 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。

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