2024年05月22日( 水 )

植木の市場から「地域の活性化と緑のテーマ・パークを目指して」~くるめ緑花センター

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 くるめ緑花センターには、植木・苗木、草花、庭、外構工事などの個性豊かな専門店が集まっている。
 これまでは、植木などを売っていくことで、各社の収益もあがっていた。しかし、各家庭における庭の役割が変化していくなか、それだけでは各社とも経営が厳しくなりつつあった。そんな大きな環境変化の中、代表理事を務めることになったのが、高良剛寿氏だ。高良氏自身も「茶花の里」を経営しており、まさに「二足の草鞋(わらじ)」。高良氏のこれまでの取り組みについて振り返ってみる。

 くるめ緑花センターの特徴の一つが「道の駅くるめ」に隣接するということで、緑花センターが以前から「道の駅くるめ」の誘致をしてほしいと行政に陳情を続け、ようやく実現したものだ。もともとこの地には久留米市の公園があったのだが、当時の組合員が隣地を買い取って、道の駅を誘致するという取り組みを行い、それが実現した。

 しかしながら、くるめ緑花センターの南側、耳納連山側に道の駅の建物が建つことによって、緑花センターが隠れて見えなくなるという問題が起きた。組合員と行政との話し合いにおける行政側からの提示案の中で、最も悪い配置案だったという。そのため当初は、「道の駅と協力するという雰囲気ではなかった」とのこと。

高良 剛寿 氏

 高良氏が代表理事となったのは、2017年夏。代表になって初めてのキャンペーンとなる2017年秋のイベントは、従来の内容で実施した。この時、高良氏は「次からはイベント内容を変えなければ」と思ったという。18年春からは、道の駅に見本となる庭をつくり、道の駅の来場者に緑花センターへと足を延ばしてもらうための取り組みを始める。この時にブランディングにも着手し、「グリーンマルシェ」とネーミングした。

 18年秋の「グリーンマルシェ」は、道の駅10周年のタイミングだった。そこで「少しだけ」共同キャンペーンを行うことに。道の駅の特設テントでの展示販売会、正月飾りの苔玉ワークショップ。この時、自らのお店「茶花の里」に藁ぶき屋根のイタリアンレストラン「時の庭」をオープンさせた。これが現在につながる「食と緑の融合」の第一歩だ。

 2019年春のグリーンマルシェでは、さらに大きく前進する。久留米市教育委員会からの後援を取り付けたのだ。「植育」として小学校へ出張し、花の苗を植える教室を展開していた教育委員会との関係もあり、実現したもの。出張植育の代わりに、小学生には無料で、さまざまな植物と触れ合うワークショップを実施することにした。また、小学校を通じてのチラシ配布も実現し、格安で告知することが可能となった。また、地元の高校とのタイアップも実現し、さらには、組合の事務所も改装と将来に向けての準備も怠りない。

 2019年秋のグリーンマルシェでは、改装した組合事務所にパン屋さんをオープン。緑花センター中心部にパンという集客装置ができ、さらにセンター奥の空地「時の庭」でのパエリアの無料ふるまいというセンターの細部まで見てもらえる仕組みづくりを実現できた。
 2020年春、さらに進化する緑花センターを見てもらうべく、「道の駅くるめ」とのさまざまな仕掛けを準備していたが、残念ながら新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言により、客足が急減、各種食のイベントはもちろん、ほぼすべてのイベントを中止せざるを得ない状況となった。

 忸怩(じくじ)たる思いでいると思われた高良氏だが、すでに「次の一手」に着手しており、少しだけその一端を聞いてみた。
 「まずは、外部との連携です。耳納北麓には、観光資源が豊富にあります。この地域との連携を進めていくということを考えています。ここは、田主丸、吉井・うきは、そして、日田へとつながる入口です。福岡都市圏の人にも回遊してもらえる最初の入り口であり、福岡へ帰る最後の緑の場所になりえます。地域全体に来場者が回遊してもらえるきっかけの場所になるのではないかと思います。次に、緑のテーマ・パーク化構想です。今回のコロナ問題でも明らかになったのですが、やはり都会で生活するリスクは高いと思います。単純に都会でのストレス度は高く、人間性を取り戻すために“緑“は必要不可欠です。自然に帰る、自分に帰る場所は、人間が生きている以上、必要です」

 具体的な様々なイベントについては、2020年秋のイベントで明かしてくれるとのことだが、もう少しだけ踏み込んで具体的なイメージを聞いてみたところ、
 「糸島のようなおしゃれな海のイメージではなく、やはり耳納の山、筑後の“てれっとかげん“の山の田舎のイメージです」とのこと。
 なかなか先が見えない状況ではあるが、高良氏が手掛ける「次の一手」を見ることができる今年秋の緑花センターくるめに注目したい。

くるめ緑花センター 協同組合
住所:久留米市善道寺町木塚302-1
お問い合わせ:0942-47-2581
URL:https://kurume-ryokkacenter.com/

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