2024年04月29日( 月 )

次世代のエネルギー源として脚光を浴びている洋上風力(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 地球規模の気候変動をもたらし、人の暮らしや自然環境に、大きな被害をもたらしている地球温暖化。近年、その被害の大きさから、早急な対応が求められている。地球温暖化の影響で、今まで寒かったところが寒くなくなったり、暑かったところがさらに暑くなったりしている。このような気温上昇だけならまだ良いが、台風の多発による被害や、集中豪雨などによる被害も増加しつつある。
 今回の新型コロナウイルスも間接的には地球温暖化と関係があるという説がある。地球温暖化で生息地を失われた動物が人間に近づくことにより、ウイルスが動物から人間にうつるようになったとする説があるのだ。

 そんななか、地球温暖化の主犯とされている二酸化炭素の削減のために、化石燃料のかわりに再生可能エネルギーの使用が求められている。再生可能エネルギーといっても、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電など、色々な種類があるが、今回は風力発電の中でも、最近脚光を浴びている洋上風力を取り上げてみよう。

 再生可能エネルギーを推進することは、環境問題を考える上で、合理的な選択ではあるが、再生可能エネルギーの課題である不安定性と、政府の補助金なしには成り立たない仕組みも指摘せざるを得ない。ところが、風力発電は技術の進歩で発電効率などが上昇しただけでなく、その結果、コストも安くなり、事業としてもメリットがでてきている。

 風力発電とは、翼に風を受けてそれを回し、発電をする仕組みのことを指す。火力発電のような燃料を使う代わりに、風が燃料になるので、風力発電は二酸化炭素などを発生させず、とても環境にやさしいエネルギーである。また、風力発電に必要となる風は「いつでもどこでも」吹いている。
 風力発電を構成する三つの要素は、ブレード、タワー、ナセル(増速機や発電機が入っている)である。その中でも、ブレードは大型化し、発電効率を上げているのが現状である。

 風力発電がビジネスとして成立するようになった大きな要因の一つは、実は政府の補助金制度の一種である固定買取価格制度(FIT制度)の存在だ。固定価格買取制度とは、政府が再生可能エネルギーの普及のために、固定された価格で電気を買い取ってくれることを約束する制度だ。この制度があるので、風力発電事業は収支計算ができ、事業見通しができるので、色々な企業が風力発電事業に参加できるわけだ。3Kw1基当たり風力発電機のコストは200万円~300万円くらいなので、10Kwで約1,000万円くらいになる。メンテナンス費用などを加えると、10Kwで1,300万円ほどのようだ。

 それでは、風力発電の中でも、なぜ洋上風力に注目が集まっているのかというと、洋上風力は陸上風力に比べてさまざまな利点があるからだ。陸上より洋上の方が風量が多く、騒音や自然破壊という課題からも自由になれるし、大型タービンや大規模団地を造成するにも、陸上よりは洋上の方が制約も少ない。

(つづく)

(後)

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