2024年04月26日( 金 )

3月の日中間の貿易額はほぼ元通りに~対中国輸出は2月の前年同月比47.1%減から大幅に回復

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 日本の対中国輸入は2月に47.1%減(前年同月比、以下同じ)と激減しており、新型コロナウイルスが中国の経済活動に与えたインパクトを物語っていたが(1月は5.7%減)、3月には4.5%減にまで回復した(1~2月は財務省貿易統計「確報値」、3月は同「速報値」、円ベース)。日本の対世界輸入総額が2月は13.9%減、3月は5.0%減であり、2019年通年の対中国輸入が3.9%減(前年比、輸入総額は5.0%減)であったことを考えると、単月でみた数字はほぼ元通りになっている。20年2月分の輸入が3月にずれこんで行われたにせよ、全体としては回復基調にあるといえる。なお、対中国輸出に関しては2月でも0.4%減(前年同月比)であり、大きな影響はみられない。

 日中間の貿易の実態をつかむには、中国側が発表する貿易統計(人民元ベース)も併せて参照することが多い。中国税関当局によると、1~2月の対日輸出が23.3%減(前年同期比)だったのが、3月には1.8%増(前年同月比)とプラスにまで回復している(中国海関総署「統計月報」より計算、人民元ベース)。双方の統計に不整合はあるが、日本側の統計は円ベースであり、中国側の発表する統計は人民元ベースであること、為替変動、集計方法や範囲の相違などの理由によるものである。

 いずれにせよ、日中双方の貿易統計から、3月には日中間の貿易額がほぼ元通りになったということが確認できる。とはいえ、日中間のほとんどの旅客便が停止したままであり、航空便を利用した急ぎの購入、調達などは行いにくい状況が続いている。また、個々の品目、地域によって中国国内の物流事情も異なると思われ、現地の状況を確認しながら余裕をもって進めていく必要があるだろう。

【茅野 雅弘】

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