【筑後川河川整備】参加型の大刀洗町政~住民と考える「内水氾濫」
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大刀洗町長 中山 哲志 氏
県庁職員や大刀洗町副町長の経験を経て、2020年1月に大刀洗町長に就任した中山哲志氏に、同町のまちづくりと水害対策について聞いた。
(聞き手:当社代表・児玉 直)支流整備は途上
――まず、町の概要とこれまで進めてきた政策について聞かせてください。
中山町長(以下、中山) 大刀洗町は、人口約1万5,000人の小さな町です。副町長時代は民間出身の安丸町長の下、保育所の民営化や給食調理業務の民間委託などの行政改革に取り組むとともに、保育料や給食費の補助など「子育てしやすいまちづくり」を目指してきました。こうした政策が功を奏し、この間、地方債残高を41億円削減し、基金を14億円積み増しするなど財政の健全化を図るとともに、子育て世帯の転入増加などにともない、減少傾向にあった本町の人口は今年2月末には13年ぶりに過去最高を更新しました。一方で、町の主要産業である農業従事者の高齢化と後継者不足は、これからも継続して取り組むべき大きな課題です。
――筑後川の氾濫に関しては、どう考えていますか。
中山 大刀洗町は急傾斜がないので、土砂災害はほとんどありませんが、浸水被害は起こり得ます。実際に、昨年まで3年連続で筑後川の支流が氾濫し、農地や農業用施設を中心に大きな被害が生じています。氾濫の可能性が高いのは、筑後川の本川よりも「内水氾濫」が起こる支流です。支流の整備を進め、床上浸水や農地被害を食い止める必要があります。大刀洗町を流れる河川は国交省と県が管理しています。国交省の管理区間では計画的に整備が進んでいますが、県管理の区間では九州北部豪雨などでとくに被害の大きかった朝倉地区に重点的に予算が配分されるため、整備に時間を要しているのが現状です。
このため、ハード面の整備は必要不可欠ですが、町としては、地域の皆さまにも知恵や力をお借りしながら、ソフト面でいかに住民の安全・安心をつくっていくかがポイントになると考えています。
――具体的には、どのような取り組みがありますか。
中山 大刀洗町では2014年に全国で初めて「住民協議会」を実施し、現在も活動を継続しています。無作為で抽出した委員が1つのテーマについて話し合い、町に提言をいただいています。まちづくりには、こうした住民の意見や力が不可欠で、水害対策は重要なテーマの1つです。町や地域の出来事を“自分ゴト化”してくださる住民の方が増えれば、より暮らしやすい大刀洗町になると信じています。【文・構成:安永 真由】
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