2024年04月26日( 金 )

【コロナショック・九州リースサービスの見解】地域経済への影響「リーマン・ショック超え」~リース&ファイナンスで景気回復支援

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(株)九州リースサービス 代表取締役社長 礒山 誠二 氏

 九州で唯一無二の独立系リース会社として、多岐にわたる取扱商品を複合的に提供する総合リース&ファイナンス企業として事業を展開してきた(株)九州リースサービス。“コロナショック”で経済情勢が不安定になりつつあるなか、銀行とは違う価値を提供するリース会社である同社は、どのような役割をはたしていくのか――。福岡商工会議所の会頭を務めた経験ももつ、同社代表取締役社長・礒山誠二氏に聞いた。

オフィス需要に変化

 ――コロナショックは、不動産市況にどのような影響をおよぼすとお考えでしょうか。

礒山 誠二 氏

 礒山 リーマン・ショック時とは異なり、今のところ金融セクターには大きな影響は出ていません。しかし、外出自粛や休業要請などの人が動けないことによる地域経済への影響は、リーマン・ショック級、あるいはそれ以上になると見ています。

 不動産市況への影響でいえば、テレワークの増加や、入居テナントからの賃料引き下げ要請などによって、オフィスの在り方が変わっていくのではないでしょうか。これまでは、大きなビルのワンフロアにオフィスを構えるといったところも多かったと思いますが、今後はオフィスの利用方法そのものが変わってくると思います。旧時代型のワンフロア・一極集中ではなく、小スペースで分散したかたちが増えてくると、当然ながらオフィスの量的な需要も変化するでしょう。

 J-REIT指数は大きく下落しており、それによる影響も大きいと思います。オフィスの空室率上昇やホテル稼働率低下などが懸念されますが、新規のオフィスビルやホテルなどでも、計画見直しによって竣工を遅らせるといったケースが出てくることが考えられます。

 ――福岡のマンション市況についてはどのように見られていますか。

 礒山 マンションだけに限らず、住宅に関しては昨年の秋以降、供給過多の状況になってきていました。そのなかで今回のコロナショックですから、たとえば外国人によるマンション投資は減速してきているようです。加えて、こうした状況下では皆が大きな金額を動かすことへの躊躇がありますから、実需型マンションなどの耐久消費財への需要は落ち込んでいくと思われます。当然ながら、地場のマンションデベロッパーへの影響も出てくるでしょう。

コロナ後の立直し肝心

 ――リーマン・ショックの教訓は、どう生かされていますか。

 礒山 当時は、金融機関からの資金調達が困難になった――というのが一番の問題でした。金融借入などの他人資本だけに依存していては、全体的な金融システムが壊れてしまうと、即座に行き詰まってしまいます。そのため当社でも、ALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント)などのリスク管理を進めてきました。昨年央くらいからは日韓問題などの要因もあってホテルを中心にマーケットが変わりつつありましたので、それに対応した準備も行ってきました。

 ――今の状況下で、御社のような総合リース&ファイナンス事業者がはたすべき役割は何でしょうか。

 礒山 当社の今期の期初会議のなかで、「今こそリースやファイナンスで、お客さまに寄り添って、相手のニーズやウォンツにきちんと対応していこう」という話をしたところです。今後、当社に対してのリスケの要請や相談なども増えてくるでしょうが、そうした目の前の対応だけでなく、コロナショックが静まった後にお客さまが事業をきちんと立て直せるよう、そのための支援策などについても、しっかりと考えていきたいと思います。

 リースに関しては、これまで多かった建設機械や厨房機器など以外にも、ロボットや医療機械、農業機械など、新たなリース商品の開発を含めた商品の多様化を進めています。そのほか、4月にオープンしたばかりの商業施設「Avant Mall 菊陽」(熊本県菊陽町)では、土地の所有者から事業用定期借地契約によって土地を賃借し、各テナントが希望する建物を当社が建築したうえで賃貸する「建物リース」方式で開発を行いました。今後も商業施設のリニューアルなども含めて、まちづくりへの貢献も行っていきたいと思っています。

 ファイナンスに関しては、コロナショックの前から、銀行の不動産融資への見方がシビアになっていました。我々ができるファイナンスは1~2年の短期のものが多いのですが、銀行融資が下りるまでの“つなぎ”として、たとえば土地を取得するための資金として活用してもらい、そこに建物が建てば、今度は銀行に引き継ぐような――、そうした支援を継続して行っていく。また、さらに銀行融資がシビアになった際、当社としては銀行融資とはまた違うかたちで、いろいろな付加価値を付けながら、借りる側にもメリットがあるような仕組みを打ち出していきたいと思います。

 福岡というまちはまだまだ伸びる余地がある。今のような状況こそ、我々のような総合リース&ファイナンスの出番ではないかと思っています。今を乗り切るだけでなく、事態が収束した後の立て直しのフェーズも含めて、さまざまなかたちで各事業者の支援に注力していきたいと思います。

【坂田 憲治】


<プロフィール>
礒山 誠二(いそやま・せいじ)

1951年6月生まれ。福岡県出身。75年に慶応義塾大学商学部卒業後、(株)西日本相互銀行(現・(株)西日本シティ銀行)入行。2004年10月、西日本シティ銀行取締役就任。その後、同行の常務取締役、専務取締役、取締役専務執行役員、取締役副頭取を歴任し、16年10月に(株)西日本フィナンシャルホールディングス取締役副社長に就任。18年6月の(株)九州リースサービスの代表取締役会長就任を経て、19年6月に同社の代表取締役社長に就任した。15年9月から18年6月まで、福岡商工会議所会頭も務めた。


<Company Information>
代 表:礒山 誠二
所在地:福岡市博多区博多駅前4-3-18
    サンライフセンタービル
設 立:1974年11月
資本金:29億3,330万円
TEL:092-431-2530

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