2024年04月20日( 土 )

防災協定対象に公園・緑地も追加 官民連携による災害復旧(前)

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頻発する自然災害対応に業界団体の力を活用

 近年、自然災害が頻発化・激甚化・広域化し、日本全国各地で猛威を振るうようになってきている。九州だけを見ても、2016年4月に発生した最大震度7の熊本地震を始め、朝倉市や東峰村、日田市などで大規模な土砂災害を起こした17年7月の九州北部豪雨、九州だけでなく西日本の広範囲に被害をもたらした18年7月の西日本豪雨、大雨による冠水で鉄工所から油が流出して広範囲に被害を与えた19年8月の豪雨災害など、毎年のように何らかの自然災害が発生している状況だ。こうした自然災害のうち、いつ・どこで発生するかの予測が困難な地震はともかく、集中豪雨や台風などの風水害は、そのほとんどが梅雨の時期から秋口の台風シーズンまでの夏の期間に固まっている。福岡市においては、05年3月発生の福岡県西方沖地震を除けば地震による被災はほとんどないものの、台風や豪雨による河川の氾濫などの風水害によって例年のように何らかの被害が発生しており、災害発生後の公共インフラなどの復旧については、市民の安全・安心のためにも早急な対応が求められる。

 福岡市では、こうした地震や風水害などの災害発生時に、被害の拡大防止措置や被災箇所の復旧作業を迅速に行えるよう、“地域の守り手”である民間の業界団体などとの間に防災協定を締結。最も古くは、1983年12月に(一社)福岡市土木建設協力会と結んだもので、このときの協定では、風水害などの被害が予想される箇所への土のうの事前準備や、土砂災害などの被害拡大防止措置、被災箇所の復旧などを求めている。以降も、公共インフラの種別ごとに市内の複数の業界団体などとそれぞれ防災協定を結んでいき、今では道路や上下水道、河川、港湾などの公共インフラ面の応急対策や被害拡大防止処置から、民間住宅の応急処置、被災状況の調査、消防活動など、その守備範囲は多岐にわたっている(【表1】参照)。

 そうしたなか、これまで防災協定上は空白となっていた公共インフラがある。人々のレクリエーションの空間や良好な都市景観の形成、都市環境の改善、豊かな地域づくりに資する交流の空間――といった役割を担う「公園・緑地」だ。

(つづく)

【坂田 憲治】


<INFORMATION>
(一社)福岡市造園建設業協会

会 長:古賀 正(古賀緑地建設(株))
所在地:福岡市中央区渡辺通5-24-30
設 立:1987年
会 員:39社

(一社)福岡市緑化協会
会 長:大橋 優((株)大橋造園土木)
所在地:福岡市早良区早良7-1-39
設 立:1994年
会 員:40社

(中)

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