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2020年06月25日 07:00

前駐ベトナム大使・梅田邦夫氏特別講演レポート「日本にとってのベトナムの重要性」(6)

 NetIB-Newsは、DEVNET INTERNATIONALから提供いただいた前駐ベトナム日本国大使・梅田邦夫氏の講演レポート((公社)ベトナム協会)をお送りする。今回は「ベトナムとアメリカとの関係」について。

ベトナムとアメリカとの関係

 ベトナムの対米関係もこの数年で大きく進展しています。
 2017年秋、オシウス前米大使は離任直前の昼食会で、「自分は、非常に幸運であった。3年の任期中に、ホワイトハウスのベトナムへの注目度が段違いに大きくなった」と語りました。

 まさにオシム前大使が語ったように、2014年、中国が南シナ海において人工島の造成と軍事基地建設を開始して以降、米にとってベトナムの重要性は格段と高まり、次のような重要行事が次々と開催されています。

 2015年以降「航行の自由作戦」開始。
 2015年―グエン・フー・チョン共産党書記長が訪米。共産党書記長の米国公式訪問は、ベトナム戦争終結後、初めてとなる歴史的訪問でした。

 2016年―オバマ大統領がベトナムを訪問し、ベトナムへの武器輸出を完全解除すると発表、枯葉剤汚染地域の除染などにも合意しました。

オバマ・ブンチャー

 なお、余談になりますが、ハノイ滞在中、オバマ大統領は、ハノイ市内のブンチャー(つけ麺、ハノイB級グルメの代表)・レストランを訪れました。その後、その店は外国人観光客を含めて大人気店となり、大統領が食べたブンチャーは今も「オバマ・ブンチャー」と呼ばれ、人気料理となっています。

 2017年―1月にトランプ政権発足。6月にはフック首相がアセアン10カ国の首脳のなかで一番初めにワシントンに招待され、トランプ大統領と会談しました。
 同年11月―トランプ大統領は、APECダナン首脳会議出席直後、ハノイで国賓訪問を行いました。大統領就任後、初の東南アジアの国の訪問でした。
 ベトナムにとって、午前中は、トランプ大統領の国賓訪問、午後は習近平国家主席の国賓訪問と前代未聞の1日となりました。

 米越首脳会談では、南シナ海を中心に政治・安全保障分野で意見が一致し、経済分野では、ベトナムが米国からのボーイング機100機の購入を約束しました。

 ベトナムの対米貿易黒字は、2019年、中国、メキシコ、日本(約690億ドル)、ドイツにつぐ第5位(約470億ドル)です。政治・安全保障分野では、米越の利益は一致していますが、貿易分野では、米国からの強い黒字削減圧力にさらされています。

 2018年―米空母カール・ビンソンが、ダナン港に寄港。ベトナム戦争終了(1975年)以降、初の米国空母の寄港でした。

 2019年―第2回米朝首脳会談開催前(ハノイ)に、米越首脳会談が開催されました。トランプ大統領にとって、2017年に続く2回目のベトナム訪問です。

 2020年3月―米空母セオドア・ルーズベルトがダナンに寄港。
レセプションにおいて、米海軍太平洋艦隊司令官は、「我々は、この地域においてベトナムをもっとも信頼できる国と評価しており、今後も安全保障分野の協力を進めていきたい」と強調しました。

信頼関係構築

 ベトナムにとって、中国による南シナ海支配を阻止するためには、外国との協力、とくに米国との協力が不可欠です。ただし、防衛協力に関して、現時点では、ベトナムは、関係強化のスピードについて、中国から無用の反発を生まぬよう、状況を見ながら、慎重に進めています。

 また、米越関係者によると、米越指導者間の信頼関係構築は、まだ初期段階といわれており、信頼関係を深化させるためには、乗り越えなければならない課題がいくつもあります。

 たとえば、米軍兵遺骨取集、枯葉剤(ダイオキシン)被害地域の除染と被害者救済など、戦争の傷跡克服です。トランプ政権も、これらの課題には積極的に取り組んでいます。
 若いベトナム人は、米国にあこがれをもち、多くは親米です。米国への留学生も増加しており、米国への留学生を出身国別にみると、ベトナムは第6位(2018年約2.5万人)です。この人数は、米越間の国交が正常化した1995年の約800人の30倍以上となっています。ちなみに、2018年の米国への日本人留学生数は、約1万9,000人(9位)であり、ベトナム人留学生よりかなり少ない人数です。

(つづく)

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