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2020年07月04日 07:00

IT化とデータ可視化の推進でジョブ型への対応を(後)

ナレッジスイート(株)
代表取締役社長 稲葉 雄一 氏

 新型コロナウイルス感染症対策によりテレワークが普及したとはいえ、ジョブ型に完全に移行できるわけではなく、経営者・社員双方にとって適切な雇用形態の模索が続くであろう。
 東証マザーズ上場のナレッジスイート(株)の提供するサービスは社内の無形のノウハウの可視化・資産化を推進し、業務の効率性向上、リスクヘッジに役立つものであり、地方の企業、中小企業のデジタルシフトを後押しするものだ。コロナによる社会環境の変化などについて、代表取締役社長・稲葉雄一氏に話をうかがった。

(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)

単純作業の自動化で社員の余力を生み出す

 ――営業支援ツールについて、テクノロジーと人間の分担のバランスについてはどう考えますか。

 稲葉 単純作業の自動化が重要だと思っています。たとえば、営業で問い合わせを受けたときに必ず行うルーティン業務があります。当社では毎月700~800社の中小企業から問い合わせを受けており、営業をかける前に、その企業の製品や社員数などの情報について調べるのがルーティンになっています。

 それらは当たり前の業務として行われていますが、非常に時間がかかっています。当社はこれらをすべて自動化したサービスを提供し、問い合わせを受けたら、関連のキーワードですべての情報をクローリングすると、自動的に情報をすべてインターネット上で拾って出力してくれます。この単純作業1件につき従来は会社名とその地域名で数分かけて検索をしていたのが、自動化により時間がかからなくなり、効率が上がっています。

 ほかにも、当社の営業支援ツールでは、スケジュールとその報告をボタン1つですべて連携させることができます。当社は人間が当たり前のこととして行っている単純作業をKnowledge Suiteのなかで全部自動化しようとしています。

 私たちの考え方は、8時間の労働を3時間に減らすことを目指すのではなく、売上を増やすための余力をつくるお手伝いをするというものです。Knowledge Suiteは、顧客の売上を伸ばすため、社内での受注プロセスにおけるアクションを自動化するツールです。新規を獲得するために4~6割の労力を使っていたら、残りの5割しか商談のクロージングのプロセスに時間を取れなくなりますが、新規のための労力を減らすことによって、商談のプロセスの機会が増えれば、売上は必ず伸びます。

 ――日本は、アメリカと比べて、インサイドセールスにかける時間が非常に長くて生産性が低いため、その部分を圧縮することで効率を上げるということでしょうか。

 稲葉 インサイドセールスは営業で必要な手法の1つですが、新規顧客のリード獲得には非常に労力がかかり、新規のアポイントに営業の約4~6割の労力を費やしています。当社は毎月中小企業から多くの問い合わせを受けるほか、展示会出展などにより新規リードとの接点を最大化し、その労力を削減できています。このように当社は、すべて自動化して、無駄な動きを行わないようにしています。なお、これに関しては、当社が過去にベンチャーとしては例外的に日経新聞と朝日新聞の朝刊で15段の全面広告を出し続けたことがベースになっているという理由もあります。

地方の企業こそIT化推進でノウハウを資産に

 ――営業はデータを活用した科学的なものであるべきだと思いますが、福岡では、営業で大事なのはコミュニケーション能力という属人的な要素で捉える経営者が多いという印象です。この点について東京と地方の差は感じますか。

 稲葉 Knowledge Suiteの方法は、社員の頭のなかの知識を会社の資産に変えるというものです。メモは自分のものであって、会社に提出はしませんよね。こっそり聞き出した予算、顧客の社員から受けた感覚、人事情報や人となりの評価、趣味や思考については、自分がその顧客を攻略するための1つのノウハウとしていましたが、これらをすべて会社の資産に変えることを提唱しています。

 地方では「御用聞き的な」三河屋のように動きが属人的である傾向が強く、ある優秀な社員が辞めたときに、顧客に関して社員の頭のなかにある、あるいはメモに残している情報を含めたすべてが他社に移ってしまうリスクが大きくなります。しかし、Knowledge Suite上に情報、すなわちメモをインプットするという癖付けができていれば、その社員がクライアントを抱えて競合先に移動するという現象は発生しにくくなります。会社にとってのリスクは従来定性的にしか見ていなかったのですが、Knowledge Suiteが蓄積するデータは、その部分を定量的に可視化するものです。

 このように、地方の企業こそ、IT化の推進により、ノウハウを会社の資産に変え、会社の経営を良い状態にもっていくことができます。

 Knowledge Suiteはとくに中小企業の支援について中心に考えており、中小企業の人手不足問題を解消することを課題としています。自動化がさらに加速するなかで、顧客の業務の自律化をサポートしていくという将来像をもってサービスを展開していきます。

(了)

【文・構成:茅野 雅弘】

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<COMPANY INFORMATION>
ナレッジスイート(株)

代 表:稲葉 雄一
所在地:東京都港区虎ノ門3-18-19
設 立:2006年10月
資本金:6億8,110万円
売上高:(19/9)21億5,994万円

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