2024年05月06日( 月 )

中国が成都市の米国総領事館を閉鎖~薄熙来・元重慶市書記失脚につながった政治舞台が閉館に

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 7月27日午前、中国外交部は、四川省成都市にある米国総領事館を閉鎖し、接収したことを発表した。
 24日、米国がテキサス州ヒューストン市の中国総領事館を閉鎖したことに対し、中国政府は25日、成都市の米国総領事館に閉鎖を命じたと発表していた。

 米国、中国ともに相手国において総領事館を5館開設していた(大使館、香港総領事館を除く)が、これで4館ずつとなった。今後も強硬な外交上の措置をとり続けるのであろうか。

三国志関連史跡

 成都市の米国総領事館という一地方の総領事館が国内外の耳目を集めるのは今回が初めてではない。2012年、当時最高指導部入りを目指していた薄熙来・重慶市書記が失脚するという政変が発生したが、そのきっかけをもたらしたのは、それに先立って発生した薄熙来の懐刀とされた王立軍重慶市副市長の米国成都総領事館への駆け込み事件であった。
 王立軍は薄熙来との関係が悪化したため、粛清を恐れて米国総領事館に庇護を求めて駆け込み、その代わりに薄熙来のスキャンダル情報を差し出したとされる。薄熙来をめぐって、習近平(当時は就任前)の代わりに総書記就任を企んでいたという陰謀の存在も指摘されており、当時の成都総領事館は中国の政治スキャンダルの舞台となっていた。

 なお、成都市は歴史的には三国志における蜀の都として知られているが、現代においても中国内陸部で最大の人口を有する大都市で、ジェトロが事務所を設置しており、中国西部の経済・ビジネスの一大拠点となっている。市内中心部に位置するイトーヨーカ堂(2号店)の売上は日本国内の店舗を含めても同社最大とされる。

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