「海抜ゼロm」「木密」対策~大都市・東京の整備計画とは(1)
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【治水対策】東京の洪水対策
近年、1時間50mm超のゲリラ豪雨による浸水被害が増えている。昨年の台風19号による大雨では、都内1,344棟の家屋に被害が出た。
振り返ってみると東京の防災の歴史は、治水の歴史でもある。江戸時代から沿岸部を埋め立ててきた東京では、都市部に多くの河川が流れ込むという地勢のため、治水対策を余儀なくされてきた。水上交通で栄えてきた江戸川は、東京湾に注いでいた利根川を千葉県銚子に注ぐようにした1594年から、60年におよぶ河川改修工事で生まれたものだ。明治時代以降になると、かつての荒川(現・隅田川)周辺で産業の発展とともに増加した工場などが浸水し、深刻な洪水の被害を受けた。このため1911年、水害を防ぐ放水路として東京東部低地帯を流れる「荒川放水路」(現・荒川)の開削工事事業に着手し、1930年に完成している。
また、明治時代末期から1970年ごろにかけて、工業の発展にともない地下水揚水が増加したことで、東部低地帯では地盤が沈下。最も地盤が沈下した江東区南砂2丁目では、約4.57m(1982年当時。現在は沈下していない)も沈下した。こうした地盤沈下した場所の多くは今でも海抜0m以下の低地となっており、いったん洪水で氾濫すれば、とくに甚大な被害の発生が懸念される。
(つづく)
【石井 ゆかり】
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