豪雨災害が頻発する福岡県~復旧の現状と災害への備えは――(後)
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ハード&ソフト両面から災害に強い福岡県に
毎年のように豪雨災害によって被害が発生している福岡県だが、その一方で、復旧だけではなく、災害に備えた取り組みは常に行われている。
たとえば、14年8月22日に最大時間雨量98mmを超える豪雨を観測し、二日市市街地を中心に甚大な浸水被害をもたらした御笠川水系・高尾川では、「床上浸水対策特別緊急事業」により、地下河川を整備。今年6月から運用が開始されている。これは、川の真下約1kmの区間において直径5mのトンネルをつくることで、増水時にこの地下河川へと分水させ、上部の高尾川が安全に流れるようにして氾濫を防ぐ仕組みだ。流域は、すぐ近くを西鉄天神大牟田線が通る筑紫野市の中心部にあたるため、今回整備された地下河川が威力を発揮し、今後の降雨期の氾濫の発生を未然に防ぐことが期待されている。
また、福岡県では浸水被害に備えて、県管理のものとしては九州初となる排水ポンプ車を今年6月に導入した。一般的な25mプールの水を約10分間で排水することが可能で、浸水被害が発生した現場に速やかに出動し、排水作業によって被害の軽減を図るというもの。国交省所有の排水ポンプ車とも連携・協力しながら、防災・減災に役立てていきたい考えだ。
こうした河川整備や車両導入などのハード面だけでなく、ソフト面での備えもいろいろと進めている。たとえば、氾濫の危険性が高い河川にカメラを設置して、24時間体制で監視・警戒を行うほか、その情報を随時HPなどで発信。また、「防災メール・まもるくん」や「土砂災害危険度情報配信システム」といったメール配信システムを県で運営し、いざというときの県民への情報発信を行うほか、6月下旬には地元紙に全面広告を掲載し、県民の防災意識を高めるための情報発信にも努めている。
奇しくも今年も7月初頭から、熊本県を中心とした九州や、中部地方などで「令和2年7月豪雨」と命名された豪雨が発生。九州でも熊本県南部を中心に70人以上の死者(7月20日時点)が出たほか、福岡県内でも大牟田市や久留米市などで内水氾濫による広範囲な浸水被害が発生している。3年前の九州北部豪雨で甚大な被害を受けた朝倉市の一部では、今回の豪雨で再び浸水被害を受けているところもあり、災害常襲地帯における整備の在り方を改めて考えさせられる事態だ。
このように福岡県では、毎年のように襲い来る豪雨災害に対して、都度の復旧を余儀なくされており、災害の発生と復旧とが“イタチごっこ”のように思えなくもない。だが、だからといって整備を怠れば、そのツケはやがてより凶悪なものとなって、県民に襲いかかることになる。県民および県土の安全・安心のためには、ハード&ソフトの両面で災害に“備え続けていく”ことが何よりも重要なのだ。
(了)
【坂田 憲治】
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