市民の安全・安心のために―最前線で尽力する“地域の守り手”(前)
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(一社)福岡市土木建設協力会 会長 大野 太三 氏
(丸三工業(株) 代表取締役社長)地場業者ならではの知見
――まず、(一社)福岡市土木建設協力会の概要について教えてください。
大野 当会は、土木建設業を生業(なりわい)とする会員企業で構成される一般社団法人です。前身となる福岡市土木請負業組合(1950年5月設立)から数えると今年で創立70周年を迎える、福岡地域では最も歴史のある建設団体です。正会員数は105社(7月1日現在)で、「土木建設事業の円滑な推進と技術的・経済的向上を図り、公共の福祉の増進に寄与する」という目的の下、さまざまな活動を行っています。
――土木事業者は、社会インフラ整備の担い手としての役割のほか、災害発生時の応急復旧などの“地域の守り手”としての役割を担っています。その使命について、大野会長のお考えをお聞かせください。
大野 我々地場の土木事業者の根底にある強みは、その地区や土地についての歴史に精通していることだと考えています。たとえばある住宅地が、昔は川や沼だったところを埋め立てたのか、盛土をしたのか、あるいは小山を削って造成したのかなど。そうした土地の経歴を知識として代々受け継いでいるからこそ、災害発生時に住民の避難誘導の手助けをしたり、重機を使って水の流れを変えたりといった活動を合理的に行えるのが、我々土木事業者ではないでしょうか。
近年は自然災害も激甚化してきており、人間の力では対処が難しい場合も多々あります。ですが、我々を“地域の守り手”と呼んでいただけるのであれば、その期待に応えるべく日々の技術研鑽や研究を重ねて、地域を守れるような土木事業者であり続けたいと願っています。
――貴会は福岡市内では最も早くから市と防災協定を締結し、さまざまな防災に関する活動を行ってきています。協定に基づく災害時の指揮伝達系統や出動態勢は、どのようになっているのでしょうか。
大野 まず、福岡市で災害対策本部(第1配備)が設置されると、当会でも東・中・西の3つの地区で地区本部を開設し、本部開設準備を行います。その後、市の災害対策本部が第2配備へと移行すると、当会でも本部開設を行って事務局長が待機し、市からの出動要請に備えます。この第2配備までは比較的よくあるのですが、それ以上の第3配備になると、実際に市内各所での災害発生や被害拡大の恐れがあるような段階になりますので、市側から我々に出動依頼の連絡が来るようになります。
市内では当会を始めとした4つの業界団体が、道路や河川についての被害拡大防止や復旧に関する防災協定を結んでいますが、被災箇所のエリアやその被害規模、業者側の陣容や保有機械などをいろいろと勘案して、各団体の加盟業者のなかで最も適した事業者に出動依頼を行うという仕組みです。
――出動先の被災現場では、どのような作業を?
大野 現場では、二次災害に細心の注意を払ったうえで、土嚢を積んで浸水拡大を防いだり、重機を用いて道路上の土砂や倒木を取り除いたりするなどの応急処置的な作業を行います。大事なのは、まず人命を守ること、次に交通インフラを通すことです。道路が塞がれていては住民の避難の際の障害になりますし、緊急車両も通れません。
(つづく)
【坂田 憲治】
<INFORMATION>
(一社)福岡市土木建設協力会
会 長:大野 太三
所在地:福岡市博多区中洲中島町3-10 福岡消防会館7F
設 立:1980年4月
TEL:092-291-1231
URL:http://www.f-doboku.com
<PROFILE>
大野 太三(おおの・たいぞう)
1954年、長崎県出身。日本大学生産工学部土木工学科を卒業後、丸三工業(株)へ入社。専務取締役を経て、95年3月に同社代表取締役社長に就任した。(一社)福岡市土木建設協力会では、理事、副会長を経て、2016年5月から会長を務めている。関連記事
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