2021年12月07日( 火 )
by データ・マックス

ベルヴィ香椎、施工不具合問題は JR九州・若築建設ら業者の勝利!(2)

 福岡東区の分譲マンション「ベルヴィ香椎 六番館」(以下、六番館)が傾斜している問題について、販売会社である若築建設(株)・JR九州・福岡商事(株)の3社は、六番館区分所有者に対して3つの対応策を提示し、選択を求めた。
 販売会社らが示した案は、下記の通り。
(1)改修(杭の補修)
(2)六番館の解体・建替え
(3)六番館各住戸の購入価格での買い取り
 現時点では、「六番館の解体・建替え」を希望する区分所有者が多いという。六番館の「建替え」は「ベルヴィ香椎」の区分所有者にとって、最良の解決方法となるのだろうか。協同組合ASIO代表理事の仲盛昭二氏の意見を聞いた。

 ――六番館だけの決議だけでは、「建替え」は不可能ということですね。構造スリットの未施工などの問題を「存在しないもの」として扱われた六番館以外の区分所有者は、同意するでしょうか。

 仲盛 「ベルヴィ香椎」の六番館以外の棟も傾斜地に建てられており、六番館と同じ若築建設らのJVで施工されているため、杭が支持地盤に届いていない可能性もあるかもしれません。六番館以外の区分所有者は、「自分の棟もきちんと調査をして、法律に適合した安全な状態に是正してほしい」と考えるのではないでしょうか。

 六番館の建替えについて、他の棟の区分所有者の4分の3以上の方が同意して決議されたら、六番館以外の棟は今後、調査とともに是正もされることはないでしょう。六番館の問題による風評被害で、他の棟の資産価値も下がっていると聞いています。このまま「建替え」を進めてしまうと、下がってしまった資産価値を取り戻す機会を永遠に失うことになります。

 ――六番館の建替えには、多くの困難が立ちはだかっていますね。

 仲盛 六番館の「建替え」に関して、「ベルヴィ香椎」全体の4分の3以上の同意を得ることは、かなり難しいと考えています。六番館以外の棟の区分所有者からも、不具合の調査を希望する声があると聞いています。

 JR九州や若築建設ら販売業者にとって、六番館の「建替え」についての「ベルヴィ香椎」全体の4分の3以上による承認決議が認められれば、六番館以外の棟への補償は考えずに済みますし、承認決議がなされなかった場合は「建替え」をせずに済むので、いずれにしても有利な結果となります。

 本来目指すべき対応策は、「ベルヴィ香椎」全体の瑕疵の調査と是正を行い、六番館の「建替え」以外に是正する方法がなければ「全棟建替え」を行うことではないでしょうか。

 ――六番館の施工不具合問題では、なぜ他の棟が抱えている問題を置き去りにして、結論を急いでいるのですか。

 仲盛 マンションなどの堅固な建物の瑕疵担保期間(販売者の責任を追及できる期間)は、引き渡しから最長で20年(除斥期間)です。「ベルヴィ香椎」の問題では、時間を無駄に費やし、すでに引き渡しから20年以上経過してしまいました。このことは販売業者のJR九州・若築建設・福岡商事にとっては絶対的に有利な状況であり、交渉が長引くと開き直ることも考えられます。

 六番館の理事会としては、除斥期間の20年を過ぎているため、販売業者が提示した条件で早くまとめたいと考えているのではないでしょうか。六番館の区分所有者は、20年以上の貴重な時間を浪費して問題解決を遅らせた特別理事に対して、損害賠償を請求してもおかしくない状況です。

 販売業者が開き直ることを防ぐ有効な方法は、六番館以外の棟の区分所有者が販売業者に対して、徹底的な瑕疵の調査と是正を求めることです。

(つづく)

【桑野 健介】

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