2024年03月19日( 火 )

新型コロナウイルスが直撃~旅客運輸会社は生き残ることができるのだろうか

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 来週、お盆を迎える。「今年は帰省を控えるべきか、それとも帰省すべきか」と、ぎりぎりまで迷っている人が多いといわれているが、旅客運輸業界の株価、経営状況などをみてみよう。

【表1】を見ていただきたい。輸送業界の株価推移表である。
(1)空輸会社について
~この表から見えるもの~
◆空輸業界の上場企業は5社。日本航空、全日空、スターフライヤーの3社は旅客主体。
・日本航空の8月6日の株価は1,786.5円で、新型コロナウイルス感染拡大前の1月31日の3,095円に対して▲1,309円(-42.28%)と大幅な下げとなっている。
・全日空の8月6日の株価は2,229円で、1月31日比▲1,195円(-34.90%)と大幅減。
・スターフライヤーの8月6日の株価は2,738円で、1月31日比▲1,332円(-32.73%)と大幅減。
◆パスコおよびアジア航測の2社は航空測量会社。
・パスコの8月6日の株価は1,286円で、1月31日比▲753円(-36.93%)と大幅な減少。
・アジア航測の8月6日の株価は880円で、1月31日比▲182円(-17.1%)と減少している。
◆旅客主体の空輸会社の株価は大きく下げたままになっている。また航空測量会社の株価も下げており、新型コロナウイルスが一般の企業活動にも影響を与えていることがわかる。

(2)陸運会社について
~この表から見えるもの~
◆一番大きく値を下げているのはJR西日本で、8月6日の株価は4,658円。1月31日比▲4,616円(-49.77%)とほぼ半分に下げている。
・2番目がJR九州で8月6日の株価は2,121円。1月31日比▲1,464円(-40.84%)と大幅な下げ。
・3番目がJR東海で8月6日の株価は13,420円。1月31日比▲8,165円(-37.83%)と大幅な下げとなっている。
・4番目がJR東日本で8月6日の株価は6,129円。1月31日比▲3,571円(-36.81%)と大幅な下げとなっているものの、下げ幅はJR4社のなかで一番少ないのがわかる。
◆このなかで目に付くのは西鉄の株価。8月6日の株価は2,641円。1月31日比+91円(+3.57%)と値を上げている。しかも高値は一時的ではあるものの、6月30日に3,000円をつけており、投資家の評価は高いようだ。

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【表2】を見ていただきたい。輸送業界8社の2020年3月期の経営成績推移表である。
~この表から見えるもの~
◆20年3月期の売上高を見ると、スターフライヤーを除く7社は新型コロナウイルスの感染が本格化した2月以降の旅客減少が響き、前期比マイナスとなっている。
・航空業界の売上高1位は全日空で、20年3月期は前期比▲840億9,600万円の1兆9,742億1,600万円(-4.1%)。次が日本航空で、20年3月期の売上高は、前期比▲760億3,100万円の1兆4,112億3,000万円(-5.1%)となっている。
・陸運業界の売上高1位はJR東日本で、20年3月期は前期比▲554億400万円の2兆9,466億3,900万円(-1.8%)。以下、JR東海、JR西日本、JR九州、西鉄となっている。JR九州と西鉄だけが5,000億円を割っている。
◆当期純利益を見ると、スターフライヤーが4億円の赤字。残り7社のうち、西鉄だけが増益となっている。全日空(前期比-75.0%)、日本航空(-64.6%)、JR九州(-36.0%)、JR東日本(-32.8%)、JR西日本(-13.05%)、JR東海(-9.3%)の順となっている。

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<まとめ>
【表3】を見ていただきたい。21年3月期 第1四半期(20年6月期)の経営成績推移表である。
~この表から見えるもの~
◆8社の前期(19年6月期)の売上高は2兆6,313億74百万円だったが、20年6月期は前期比▲1兆6,730億8百万円の9,583億66百万円(-63.6%)と大幅な減少となっている。
 当純利益も前期は3,041 億円59百万円の黒字だったが、20年6月期は▲5,236億46百万円の赤字となっている。
8月に入り、新型コロナウイルスは第2波の感染拡大が続いていることから、各社とも21年3月期の連結業績予想は未定としている。新型コロナウイルスの感染拡大が長引くことになれば、旅客運輸会社のうち、はたして、何社が生き残ることができるのだろうか。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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