2024年03月19日( 火 )

【縄文道通信第42号】縄文道は日本の未来道―縄文文化の影響は未来永劫に続くパワーなり―縄文の食文化の現代への影響―(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(一社)縄文道研究所

 NetIB-Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
 今回は第41号の記事を紹介。


縄文の食文化の現代への影響と未来―長寿・健康の秘訣―

 インドに何度か出張してインドカレーの美味しさを知ることができた。日本のカレーとは異なり本場のカレーは極めて辛い。日本のカレーは、辛さも各人の嗜好に応じて注文できるというきめ細かいサービスを提供しており、日本人の舌と体質にあったマイルドなカレーも選ぶことができる。最近日本のカレーチェーンが本場インドに進出したとのニュースが報じられた。

 筆者のベルギー人の友人で、世界中のアルコールを嗜んできて、最後に行き着いたのが日本酒という知人がいる。日本酒は美味しくてもっとも健康に良い長寿の酒であると惚れ込んだ人間だ。夫婦で日本に移住して家も買って、日本酒の世界での普及に努めている。
 彼は日本の約800カ所近くある酒蔵のうち約70%近くを訪問しており、英語で日本酒の宣伝をしている。パリで日本酒の酒蔵をオープンした日本人と協力してEU域内での販売促進も行っている。
 最近フランスの高級酒のドン・ペリの社長が日本酒の製造の為に米作の田畑に投資したという話や、フランスの著名なワインメーカーが北海道で日本酒の製造に乗り出したという話も聞く。

 ロンドンで実施されている世界のアルコール比較でも、日本酒の栄養素がもっとも高く評価されている。その比較表をベルギー人に見せられて納得したことがある。日本の肝臓専門医・栗原毅医師が著した『カラダに良い飲み方』の134~135頁にアルコールのなかで日本酒はアミノ酸が16種類含まれ以下の病気を防ぐ効果が絶大と記してある。
 免疫力をアップするアルギニン、脳を活性化するグルタミン酸、筋肉を発達させるロイシン、皮膚を構成するコラーゲンの元プロリンが含まれ、心臓病、骨粗しょう症、認知症などを抑制する効果が大きいという。さらにがん研究者からは、日本酒にはがんを予防する放射線防護作用があるといわれている。

 日本の米作において、今から約9,000年前の縄文前期に陸稲が行われていたことが考古学的に立証されている。
 水稲は弥生時代初期に日本列島にもたらされたが、米作は縄文時代から行われてきた。さらにぶどうや木の実からお酒がつくられ、縄文の後期の土器にはお酒を注ぐ器も発見されている。

 縄文文化の食と、最後にお酒の価値が世界的に広く認められつつある現状を紹介した。
 約14,000年続いた縄文の食文化が、現代の健康、長寿に良い和食文化に引き継がれていることは、広く世界でも認められた。

 1,200年におよぶ肉食禁止令のなかで精進料理、会席料理を独自に発展させてきた。西洋料理、中華料理、インド料理もすべて、日本の風土に合わせるという日本人の日本化する力は、明らかに縄文時代から形成されてきたものであると思われる。

 今日、日本には非常に日本化された世界中の料理のレストランがあり、楽しむことができる。
 今後とも、日本の食文化は日進月歩するであろう。世界の料理を包摂すると同時にそれらを日本化させ、世界に逆輸出され伝搬してゆくと思う。

(了)


Copyright Jomondo Kenkyujo

(前)

関連キーワード

関連記事