オールラウンドなまち福岡・大橋~整備の歴史と今後の開発計画(3)
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2020年08月12日 07:00

オールラウンドなまち福岡・大橋~整備の歴史と今後の開発計画(3)

区画整理で誕生した「大橋ショッピングモール」

 この区画整理事業の目玉の1つとして挙げられるのが、駅西口側に形成されている「大橋ショッピングモール」の建設だ。
 大橋ショッピングモールは、駅移転によって取り残された旧・駅前商店街の集団移転の実施とともに、既存の主要商店街と新大橋駅との連携を密にするために、地元商業者からの請願を請けた市の振興策として提示された「ショッピング歩道」の建設を目指したもの。副都心にふさわしいまちづくりのシンボルとなるよう計画され、基本構想および基本計画・設計を九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)環境設計学科が担当した。

ボンエルフの概念が取り入れられた「大橋ショッピングモール」

 ここでいう「モール」とは「樹陰のある遊歩道」を意味しており、自動車の通行を制限し、街路樹やストリートファニチャーなどによって積極的な修景が施された歩行者優先道路のことを指す。大橋ショッピングモールにおいては、車道を蛇行させるなどして自動車の速度を下げさせ、歩行者との共存を図ろうとする「ボンエルフ」の概念が取り入れられた。大橋老司線(国道385号、幅員22m)の373mの区間と、これに交差する大橋駅前2号線(幅員22m)406mの区間の2路線において、歩道全面および車道の一部交差点部分のカラーブロック舗装や、常緑樹・落葉樹、ベンチ併用の花壇などを配して、市民がショッピングと散策を楽しめるよう設計されている。

大橋駅西口広場

 さらに、大橋駅西口広場(2,350m2)にはシンボルツリーとして、地区一帯の氏神である「塩原地禄神社」(南区塩原3丁目)の境内にあった神木クスノキ(樹齢300~400年)を移植。これを囲むかたちで日陰棚を設置するなど、コミュニティ広場としてのデザインが施されている。この大橋ショッピングモールは81年度に着工し、総工事費約4億6,000万円をかけて84年度末に完成。現在では街路樹も成長し、緑豊かな大橋のシンボルとして市民に定着している。

 なお、このショッピングモール完成に先行するかたちで進められたのが、「大橋共同ビル」の建設だった。商環境の急激な変化に対処して人の流れを引き戻すために、地元有志を中心に構想がもち上がり、共同ビル建設にあたっては、地権者16名によって「大橋共同ビル(株)」が設立され、集合換地を実施。2,545m2の敷地にRC造2階建て・延床面積4,130m2のビルを建設した。開業時の核テナントは、当時九州最大手のスーパーであったユニード(83年4月にオープン)。現在は「マックスバリュエクスプレス大橋店」となっているが、依然として地域住民の買い物需要に応えている。

 こうして、大橋ショッピングモールの建設を含めた塩原地区区画整理事業と、それにともなう関連事業の数々によって、現在の大橋の街としての基盤が完成。現在に至るまで、南区の中心地として発展を続けてきている。

福岡都市計画事業塩原地区土地区画整理事業設計図

駅リニューアルで「レイリア大橋」誕生

 近年の大橋エリアで最も注目を集めたトピックスといえば、旧「大橋西鉄名店街」を全面的にリニューアルして19年4月に開業した「レイリア大橋(RAIRIA Ohashi)」だろう。

 リニューアル前の「大橋西鉄名店街」は、前述の西鉄大牟田線の平尾~大橋間の連続立体交差事業による高架化にともなって現在地に移転した大橋駅の高架下のスペースを利用して、1978年3月に駅ビルとして開業したもの。都心に準じた利便性と郊外の快適な生活の提供を目的とした施設として、核テナントに西鉄ストアが入るほか、「味の街」「食品の街」「暮らしの街」などの6つに区分された専門店街で構成され、駅利用客のみならず、周辺の地域住民にも親しまれていた。
 だが、開業以降は全面的な改修を経ることなく40年近くが経過し、建物や設備面の老朽化が進行。そのため、大橋駅施設の耐震化工事が必要となったことを契機として、商業施設部分を含めた施設全体のリニューアルを決定。2017年7月から大規模な改装工事に入り、18年5月の第1期リニューアルオープンを経て、19年4月に施設全体のグランドオープンを迎えた。

リニューアルオープンした「レイリア大橋」

 施設名称として付けられた「レイリア」とは、「RAIL(線路=沿線)」「ARIA(空気)」「AREA(地域)」を組み合わせた造語で、線路のように人や地域の縁をつなぎ、いつも空気のように身近な存在として共にあり、街の中心となって地域を活性化したいという思いが込められている。

 大きな変更点としては、核テナントを西鉄ストアから「レガネット」へとブランド変更するとともに、増床移転を実施。地下1階南側部分に飲食・レストラン店舗や食物販店舗を集めるほか、ドラッグストア、100円ショップ、書店、ファッション・雑貨店などの配置も、利用者目線で使いやすいような動線への配慮がなされている。また、温かみのある木目調のデザインが施された天井や壁面や、緑の多用、休憩スペースの設置などで、環境面でも「オアシス」を感じられる空間となっており、利用者からの評判も上々だ。

 なお、このリニューアルに先行するかたちで、17年8月のダイヤ改正によって大橋駅が特急停車駅となった。レイリア大橋の誕生と、特急利用が可能となって利便性が向上した大橋駅は、街にまた新たな賑わいをもたらしてくれるだろう。

(つづく)

【坂田 憲治】

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