2024年03月19日( 火 )

オールラウンドなまち福岡・大橋~整備の歴史と今後の開発計画(4)

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駅周辺の住宅需要に応え、複数のマンション開発が進行

5月末で閉店した「ダイキョーバリュー大橋店」

 今年5月末に「ダイキョーバリュー大橋店」が閉店したほか、6月10日には「ニューヨークストア大橋店」が閉店。エリア内から一気に2店のスーパーが姿を消した。その一方で、駅周辺を中心にいくつかの開発計画が進行しており、大橋の街は小規模ながら新陳代謝の真っ只中といった様相だ。

 複数進行する開発のなかで、とくに注目すべきは、大橋駅東口の駅前すぐのバスターミナルに面した場所で計画されている「(仮称)大橋駅前プロジェクト」だろう。同プロジェクトは、地場の福徳興産(株)が事業主として進めているもので、現在は交番横のコインパーキングとして利用されている土地に、1~2階が商業店舗・飲食店、3階がオフィス、4~13階がマンションとなる複合施設を建築するもの。
 入居ターゲットは20~30代の単身者で、1LDK・90戸を設けるほか、駅前一等地の立地を生かして駅およびバス利用者の生活利便性の向上に寄与するテナントを誘致していきたい考えで、「駅前の“顔”として大橋の街の雰囲気づくりに寄与する、スタイリッシュなデザインの魅力ある建物にしていきたい」(福徳興産・森山新樹代表)としている。完成すれば、駅前の新たなランドマークの1つとなるだろう。

「(仮称)大橋駅前プロジェクト」建設予定地

 駅周辺では、大橋1丁目の商業エリアでJR九州が14階建・152戸の「RJRプレシア大橋駅前」14階建・152戸の開発を進行。同じく大橋1丁目の大橋駅前2号線(大橋ショッピングモール)沿いでは、小川建設(株)が10階建・24戸のワンルームマンションの開発を進めている。大橋2丁目では、前出のダイキョーバリュー大橋店の跡地で「(仮称)大橋2丁目計画」として、低層部に物販店舗を設けたRC造・地上12階建ての計126戸(ワンルーム90戸を含む)のマンションが計画されているほか、(株)グッドライフカンパニーが15階建・42戸のマンションを計画している。
 ほかに向野2丁目では、(株)ネストが13階建・36戸のワンルームマンション「ネストピア大橋」を開発。さらに、移転統合のために閉店となった大橋1丁目の高架沿いの西日本シティ銀行大橋支店跡地では、(株)コーセーアールイーが既存建物の解体工事を行っており、その後の開発計画はまだ公表されていないが、周りを覆う囲いに同社のマンションブランド「グランフォーレ」の名前があることから、同ブランドのマンション開発が行われる公算が高い。

 こうして見る限り、駅周辺での新たな開発はマンションなどの住宅がほとんどだ。冒頭で触れた「本当に住みやすい街大賞 2019 in福岡」で大橋が2位となっていることからも、同エリアでの住宅需要がとても高いことがうかがえる。駅ビルのリニューアルや特急停車などの利便性向上は、その傾向にさらに拍車をかけていくことだろう。

  

 商業地区であり、文教地区であり、交通の結節点であり、南区の行政の中心地であり、さらにはベッドタウンでもあるといったように、多彩な顔をもつ大橋。その半面で、商業地区や交通結節点としては天神や博多の後塵を拝し、文教地区としては早良区・西新に、ベッドタウンとしても市内の人気住宅地にはおよばないといったように、幾分か“器用貧乏”な印象も受ける。しかし、大橋は突出した特長がないのが特徴で、さまざまな要素が“それなりに高いレベル”でオールラウンドに備わっているのが強みだといえるのではないだろうか。

 大橋駅から直線距離で約1.2kmと比較的近い距離にある福岡青果市場跡地では、22年春に三井不動産(株)の大型商業施設「ららぽーと」の開業が予定されている。今後、ららぽーと開業に合わせて、バス直行便などで交通アクセスのさらなる利便性向上が図れるならば、これまでもっている多彩な要素に、また新たにエンターテインメント的な要素が加わり、副都心・大橋の魅力がさらに強化されていくだろう。

(了)

【坂田 憲治】

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