2024年04月26日( 金 )

韓国、集団感染の発生でコロナ再拡大の恐れ(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 韓国では、新型コロナウイルス感染者の早期発見と隔離の徹底により収束に向かっていたが、首都圏を中心にここ数日間、感染が急速に再拡大しており、早くも新型コロナウイルスの第2波が懸念されている。

 韓国政府が今回の集団感染で懸念していることは、1つ目には前回の宗教団体発の集団感染は「震源地」が人口250万人の大邱市であったが、今回は全人口の半分近くが密集し、移動人口の多い首都圏で集団感染が発生したため、感染が急激に増える可能性を秘めている点だ。首都圏から全国80カ所の地域に、新型コロナウイルスの2次感染がすでに拡大している。この数字は全国の3分の1に当たり、首都圏はいかに感染拡大の「震源地」になりやすいのかということがよくわかる。

 2つ目には、感染経路の多様化とともに感染しても症状が現れない患者も多く、感染を把握することが段々と難しくなっている点だ。カフェや病院、学校、コールセンターなどの114カ所で二次感染が拡大しており、感染経路が確認できない患者の事例は11.6%におよんでいる。

 3つ目に、今回は患者のうち高齢者の比率が高い点だ。新世界イエス教会の信者、梨泰院ナイトクラブの顧客ともに若者の割合が高かったが、8月17日現在の新規患者数の197人のうち35%を占める69人が60歳以上だった。

 最後に、世界の新型コロナウイルスの感染状況を見てみよう。米国の患者数は584万人、死亡者数は18万人を上回り、新型コロナウイルスの勢いが衰えずに悪化の一途をたどっている。さらに検査の結果、陽性として判定される比率も少しずつ上がっており、なおさら深刻である。

 フロリダ州では、新規患者数は1万5,300人に達し、地域別の1日当たりの新規患者数では最高記録となる。フロリダ州では、新型コロナウイルスの拡大に関わらず、ビーチは海水浴を楽しむ人々でにぎわっている。

 米国では、新規患者の3割は無症状患者からの感染であることも確認されており、米国政府では外出時のマスク使用を呼び掛けている。しかし、米国のマスク使用率は55%という統計があり、米国民は世界で最も深刻な状態の置かれていることに対して、認識を新たにするべきではないだろうか。

 日本は検査体制がまだ十分ではないが、それでも患者数は増加の一途をたどっている。経済を少しでも立て直すために、「Go Toトラベルキャンペーン」などの政策を推進しているが、そのことが感染の拡大につながっているようだ。

 健康を優先すると経済がダメージを受け、経済を優先すると感染が拡大する。各国政府はかじ取りの難しい状況に置かれている。

(了)

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