2024年04月20日( 土 )

競争が激化する韓国のコンビニ業界(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 韓国のコンビニも24時間営業が基本だ。いつでも何でも買えるという便利さが何よりの魅力であり、ATMなどプラスアルファのサービスも加わって、日常生活のなかにしっかりと根を下ろしている。今回は韓国のコンビニ業界の最新動向を取り上げる。

1989年、セブンイレブンが韓国初のコンビニ店舗を出店

 コンビニストアの発祥の地は、米国テキサス州オーククリフという町である。まだ冷蔵庫が一般家庭に普及していなかった当時、日常生活における必需品である氷の小売店がコンビニストアの始まりである。
 コンビニの始まりとなったその小売店は、製氷会社の委託により、氷のほか、卵、牛乳、パンなどの商品も販売していたが、1946年に「午前7時から午後11時まで毎日営業するチェーン店」という意味をもつ「セブンイレンブン(7-ELEVEN)」に名称を変更した。

 セブンイレブンは、当時としては画期的な「フランチャイズチェーン」方式を導入したおかげで、店舗が全米に拡大し、米国最大の小売流通企業に成長した。しかし、ウォールマートなど大型流通チェーンの普及により、価格競争や事業多角化に失敗したセブンイレブンは、91年に(株)セブン-イレブン・ジャパンに吸収合併されることになる。

 米国でスタートしたコンビニは今では発祥地である米国よりも、日本、韓国、台湾などのアジア市場で成長を続けている。日本にコンビニが登場した73年から16年後の89年5月に、セブン-イレブン・ジャパンが韓国初のコンビニとして進出した。その後、コンビニ店舗数は増加を続け、2007年に1万店、11年に2万店、15年に3万店を超え、17年に4万店以上になった。コンビニは今では多くの韓国人にとって日常生活に欠かせない店舗となっている。

 弁当の昨年の売上高は前年比3倍も増加し、コーヒーの販売数もスターバックスと肩を並べるほどに伸びている。業界関係者の話によると、収益にもっとも貢献している商品は、なんと電子タバコだという。

韓国でのコンビニ増加の背景

 韓国でコンビニが増え続けている要因の1つとして、韓国は自営業者の比率がとても高く、コンビニ開業は少ない資本で安定的な収益が確保できるビジネスとして、根強い人気を誇ることがあげられる。

 しかし、コンビニ経営はアルバイトの募集や勤務態度などで気苦労も多く、店舗運営はとても重労働でつらい仕事だという。また、日本と韓国の大きく異なる点は、本部との加盟店契約方式の違いだろう。

 韓国では本部との契約期間は通常5年であるが、日本は10~15年と長い。また、韓国ではコンビニ経営者が店舗を賃借する場合が多いが、日本では本社が店舗を賃借する場合が多い。これらの結果、韓国に比べて、日本の店舗では自律性や収益配分の比率が低下しがちだ。

 韓国人は、日本のコンビニで販売されている弁当のおいしさに感動を覚えるが、アルバイトは外国人が多くなり、サービスの質が低下しているようにも感じる。

(つづく)

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