緑を核にした居心地の良いまちづくり「コミュニティ・デベロップメント」とは(後)
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東邦レオ(株) 代表取締役社長 吉川 稔 氏
都市と緑化とアートとの融合
――今後、御社がとくに力を入れていきたいことがあれば、お聞かせください。
吉川 都市のなかにおけるアートをどう扱っていくかというものです。都市のリノベーションをしていったり、新たに建築やデザインを変えていったりするなかで、そこにはやはり魂というか、人の情熱があります。アーティストがつくるアート作品にも、人の温もりや個性などが象徴的に込められていますので、両者の親和性は非常に高いのです。こうした、都市緑化のなかにパブリックアートをどう入れるか、都市をどのようにアート化していくかなどは、当社でも今、すごく強い想いをもってやろうとしているところです。
たとえば今年5月にはオンライン型アートイベント「つくらない都市計画」を自らやったり、NI-WAでアート作品をつくって発信したりするなど、最近は結構どっぷりとアートに浸かっていますね。通常のアートとは違ってパブリックアートなので、当社がこれまでにやってきた都市緑化の空間のなかに、いかにアートを取り入れていくか――。
従来の彫刻作品とかそういうものを単純にポンと置くだけではなく、コンセプトをつくっていきながら、住民や関わる方と一緒になってアート制作を行ったり、アーティストの方にもどんどん参加してもらって、多くの方々を巻き込んでいくような。まさにアートを通じて生き生きとした生命力が感じられる“場”を街中に創造することで、コミュニティ・デベロップメントの具現化に取り組んでいきたいと思っています。こうした都市づくりは、最近は世界的にも増えてきていますし、都市とアートをテーマにした事業を私の“夢”としてやっていきたいですし、現実的にもスタートしています。
――これまでの都市づくりでは、工学的な観点から効率性などが重視されてきましたが、今後はそこに住む人、使う人などの、人間の感性の部分が都市づくりにおいても求められていくように思います。そう考えると、都市とアートという組み合わせはすごく適していますね。
吉川 建築工学とかこれまでの都市というのは、どちらかというと機能性とか、利便性、快適性とか、そういうところの追求が中心でした。ですが、人を中心に据えた次の時代には、人の心に“刺さる”など、心に訴求するまちづくりが中心になってくるでしょう。
当社はこれまで都市緑化などのグリーンインフラ事業を手がけてきていますが、やはり緑があるかないかというのは、利便性ではなく精神的な豊かさという位置づけだと思います。都市緑化はすでに進んでいますので、その次の段階として、人のコミュニティづくりとか、そのきっかけをつくる都市のアート化とか、そういうことを事業の根幹にしていきながら、これからも緑を通じた居心地の良いまちづくりを進めていきたいと思います。
(了)
【坂田 憲治】
<PROFILE>
吉川 稔(よしかわ・みのる)
1965年、大阪府出身。89年に神戸大学農学部卒業後、住友信託銀行での勤務を経て、投資会社をベンチャーとして起業するほか、セレクトショップ運営の(株)リステアホールディングスの取締役副社長やカフェ経営のカフェ・カンパニー(株)取締役副社長などを歴任。2016年11月に東邦レオ(株)の代表取締役社長に就任した。関連会社の(株)NI-WAの代表も務めており、緑を核としたまちづくり・暮らし・働く・住まいをトータルプロデュースする「ライフスタイル提案」に取り組んでいる。
<COMPANY INFORMATION>
東邦レオ(株)
代 表:吉川 稔
所在地:大阪市中央区上町1-1-28
設 立:1965年1月
資本金:9,600万円
URL:https://www.toho-leo.co.jp<COMPANY INFORMATION>
(株)NI-WA
代 表:吉川 稔
所在地:東京都千代田区九段北1-15-9
設 立:2016年7月
資本金:2,000万円
URL:https://ni-wa.co.jp関連記事
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