【台風10号レポート】中洲のホテル、束の間の満室(2020年9月6日夜)
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「避難民」がホテルに押しよせる
9月4日の夕方、ホテルオークラ福岡に立ち寄った時にホテルスタッフの立ち話を耳にした。「6日は満室になったようだ」と言っているようだった。その時は「何か集まりがあるのかな!」という記憶しか残らなかった。2日後、下記の状況を目撃して、ようやくその意味が判明した。「台風10号の『避難民』が押しよせてきて宿泊している」という事実を知ったのだ。何はともあれホテルオークラ福岡が満室になったのは6カ月ぶりのことだろう。「歓喜の声」をあげてやりたい気持ちだ。
5日、中州5丁目のホテル周辺で異様な光景を目にして立ちすくんだ。夕方には雨・風が強くなっていたが、悪天候の中、老夫婦、若いカップル、女性たちのグループの姿が目立つ。一方で子供連れの家族の姿は目にしなかった。「何だろう!旅行ツアーの雰囲気はないが?」と、こちらの懐疑感は高まるばかり。新築オープンしたホテルには道路まで予約客が並んで待っているのだ。
1人のご婦人に「今日はホテルへお泊りですか?」と尋ねたところ、「台風の被害が怖いから避難のための宿泊をします」という答えが返ってきた。そこでようやく「あー、そうか!『台風避難民』のお客なのか」と納得した。ホテルスタッフに「今日は満室になるねー」と投げかけると「お陰様で」という答えとともに笑みが返ってきた。
一夜にして鈍ら(なまくら)になる
隣のホテルも人影が目立ったので、ここも覗いてみた。若い4名の女性たちがソファーに腰掛けおしゃべりしている。このホテルのラウンジの内装は、なかなか先駆的な雰囲気である。女性たちに安らぎの空間を与える人気スポットになることだろう。「台風襲来の晩にお泊りなの?」と聞いたところ「現在の住まいは風にもろい気がするから宿泊することにした」とあっけらかんとした返事。おまけに『GO TOトラベル』のチケットを利用すると朝食付きで1泊4,000円で泊まれるそうだ。どうもこのホテルも満室のようである。中洲5丁目界隈の3つのホテルが束の間の「満員御礼」となった。
そのホテルのラウンジで、ジンバックをオーダーした。スタッフは一見、きびきび動いているように見えるのだが、処理が鈍い。彼女曰く「こんなにお客さんが押し寄せてくるのは久しぶりです。本当に有り難い。以前はテキパキとさばけていたのですが、鈍くなりました」と自嘲気味に語る。
隣のホテルに入居しているレストランも同じ。この店の経営者は社員・スタッフに厳しい「おもてなし教育」を叩き込むことで有名である。しかし、お客が閑散としている状況が続けば、一瞬にして接待能力が劣化してしまう。脆いものだ。
本日の朝午前7時40分。ホテルから颯爽と出社する女性たち5名を目撃した。タイトなビジネススーツに身を固めて出社していく女性たちは「私には私の使命がある。今日もやるぞ」とおおいに闘志をたぎらせているようだ。おみそれしました。尊敬いたします。
【青木 義彦】
法人名
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