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2020年09月17日 10:00

“行動”することから見える新しい道〜日本と海外の人材の違い(後)

 9月8日、スタートアップ企業やベンチャー企業、中小企業の第2の創業の支援などを目的としているコワーキングスペース・fabbit(株)は、米名門スタンフォード大学アメリカンフットボール部コーチである河田剛氏、APAMAN(株)の代表取締役社長・大村浩司氏、(株)ボードウォーク・キャピタルの代表取締役社長・那珂通雅氏の3者を交えてオンラインセミナーを開催した。

世界を知る3名の鼎談

 第二部では河田氏に加えて、大村氏、那珂氏がオンラインで加わり、視聴者から事前に送られた質問を基に鼎談を行った。その一部を紹介する(聞き手:大村氏、那珂氏)。

 ――海外でゼロから行動を始めていくなかで、どのようなことを意識していましたか。

 河田 誰にでもできることを、誰にもできないレベルで行動に移すことを意識していました。アメリカ人は優先順位を付けるのがうまいため、優先順位が低いと判断したことを行動には移しません。そのため、時間があればできることをあえて自分なりにアレンジをして、組織における自分の「必要性」を高めました。また、一生懸命に働いていました。基本的なことですが、重要です。そこに価値を見出してもらったら、あとは自分にしかできないことをつくりました。

 ――アメリカのスタンフォード大学は多くの優秀な人材を輩出し、多くの卒業生が経済界で著しい活躍を見せています。同大学はどのような文化があり、どのような教育に重点を置いていますか。

 河田 スタンフォード大学は世界で2番目に広い敷地をもつにもかかわらず、1学年の学生数はわずか1,600人です。毎年4~5万人が受験しますが、評定平均が4.0満点の「ただの天才」ではなく、面白い個性を持ち、評定平均が3.5点の人を合格させます。そのため、イノベーションやケミストリーが生まれるのです。

 アメリカでは大学入試がないため、アプリケーションとテストスコア、1人ひとりの評定平均を評価して、合否を決めています。この方法がアメリカの大学の強さを生み出しています。特徴的な個性を持ち、さまざまなことをマルチにこなしてきた人を評価しますが、そのうちの1つがスポーツです。

 1学年に1,600人という規模は、卒業時にはファーストネームと顔が一致する人数です。この狭き門をくぐり、さまざまな方法で構築したネットワークが未来永劫に続く点が強みではないでしょうか。

オンライン面談の様子

 ――fabbitも、サンフランシスコとシリコンバレーに進出し、拠点を構えました。リーマン・ショック時の大不況では、GAFAをはじめとしたアメリカ大陸の西海岸(シリコンバレーなど地域)の企業が、アメリカ経済を大きく発展させました。そのなかでも、スタンフォード出身者の活躍にはすばらしいものがあります。その要因は、どのような点にありますか。

 河田 主な要因の1つは、変化を恐れずに積極的に挑戦する点にあると考えています。たとえば、スタートアップ企業では、CEOが会議で発表するプレゼン資料を毎週変更するだけではなく、プレゼン内容も変更します。先週言ったことですら、1週間足らずで変わることがあります。一方で、売り方や強調するメッセージは変わりません。つまり、大胆に行動する行動力を持ちつつも、「芯」はぶれません。

 「芯」をもつとは、自信をもってチャレンジすることを恐れない姿勢をもつことで、確固たる商品力のよりどころであると考えています。さらに、実行に移すまでのスパンが非常に短く、スピード感があります。一方で、日本人は保守的になりがちであるため、スピードが遅い企業も多くあります。「芯」をもって変化し続けること、行動に移すまでにスピード感があることが日本企業と大きく異なる点であり、今後、日本企業が世界で不況から抜け出すために必要なことだと考えています。

 コロナ禍によって、私たちの経済活動は大きく変化しています。ソーシャルディスタンスを取るためにリモートワークが推進され、「face to face」を基本とした営業からテレワークに則ったオンライン営業に移り変わり、環境の変化に慣れずに戸惑っている企業、社員も多いでしょう。

 この環境の変化は突然訪れたことですが、対応に遅れると直面している課題を解決できません。各業界の経営者は、「コロナの流行が落ち着いたとしても、コロナ以前の経営方法では生き残ることができない」とたびたび、口にしています。周りを見ながら対策を考え、「世の中に合わせる」方法では対応できない時代になりました。「後の先」は、もはや対策とはいえなくなっているかもしれません。

(了)

【麓 由哉】


河田コーチ

<プロフィール>
河田 剛
(かわた・つよし)氏
スタンフォード大学フットボール部 Offensive Assistant
1991年 城西大学でアメリカンフットボールを始め、1995年よりオービック・シーガルズで活躍。選手として4回、コーチとして1回、日本一達成。引退後、2007年に渡米し、スタンフォード大学アメリカンフットボール部でボランティアコーチ就任。2011年より正式に採用(現職)。スタンフォードでの14年の活動を通して、日本の政財界と多くのコネクションを築く。現在、日米問わず、大手企業やスタートアップ企業のアドバイザーを務める。


<プロフィール>
那珂 通雅
(なか・みちまさ)氏
ボードウォーク・キャピタル(株) 代表取締役CEO
世界的企業の1つであるシティグループ証券(株)の元取締役副社長として、金融市場の本場米国で業界に携わってきた。同社を退任後、日系ベンチャー企業が海外進出することが、日本が他国と戦っていくためには必要であると感じ、投資会社であるボードウォーク・キャピタル(株)を設立。(株)ベクトル、(株)ビジョン、(株)アイスタイル、(株)ジーニーなど、日本を代表する成長企業の社外取締役を務めながら、自らの豊富な経験に基づいて行われるエンジェル投資や投資先の良きアドバイザーとして経営支援をしている。


<プロフィール>
大村 浩次
(おおむら・こうじ)氏
APAMANグループ APAMAN(株) 代表取締役社長
1999年に“ITを活用して不動産業界の質的向上に貢献したい” という思いからAPAMAN
(株)を設立。不動産業界とIT業界を繋いだ先駆者として知られており、同社の国内店舗数は日本一を誇る。その後、ITノウハウを活用し、コワーキングスペースを提供するfabbit(株)の創設やその他のシェアリングエコノミーなど多種多様に事業を展開している。現在、国内だけでなくアメリカをはじめとした海外事業への展開も加速させている。

那珂社長(左)、大村社長(右)
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