(株)鹿児島銀行
鹿児島県内で圧倒的な存在感をもつ(株)鹿児島銀行は、域内の人口減や産業縮小が進むなか、業績を伸ばしている。一方で、構造的に支配する企業の業績悪化が顕在化するなど、地場財界から取引先との向き合い方に厳しい視線が注がれている。肥後銀行との統合から10年。影響力に見合う姿勢が問われている。
圧倒的な
地域ナンバーワン銀行
(株)鹿児島銀行は長年にわたり地域経済を支え、県内では「かぎん」の名で広く知られる。県下2位の南日本銀行とは経常収益(売上高)で5倍、貸出金で7倍の差をつける。機動力や面倒見の良さで評価が高い鹿児島相互信用金庫と比べても、ほぼ9倍の経常収益を上げる圧倒的な地元シェアを誇る。地銀再編が進むなかで2015年に肥後銀行と経営統合し、(株)九州フィナンシャルグループを設立。熊本県下で状況が類似する強豪と手を組んだ。
足元の業績は好調だ。23年3月期に100億円を割り込んだ業務純益を25年3月期には134億円に引き上げた。同年期の経常利益194億円は22年3月期からほぼ倍増させている。金利引き上げも相まって本業で順調に稼いでいることがうかがわれる。リース子会社ら6社を加えた連結ベースでは経常収益が1,000億円を突破した。
実質経営の城山観光の不振が波紋
鹿児島銀行による城山観光(株)をめぐる支援手法が問われている。同社は鹿児島のシンボル的存在「城山 ホテル 鹿児島」を運営している。06年の私的整理を経て資本構成が大きく変わった。創業家も様式を有するが現在の主要株主は鹿児島銀行、そのグループ会社、そして一部地元企業で構成されている。経営陣にも銀行色は濃く、社長は鹿児島銀行出身者が務め、複数の取締役が同銀行グループから派遣されている。実質的に、同行が経営のかじ取りを担う構造となっている。
だがその体制下でも、業績は6期連続で赤字。再建が進んでいるとは言い難い。取り分け問題視されたのは、グループ旧子会社であるパチンコ店運営会社・(株)モリナガ売却をめぐる判断だ。株主からは不動産活用を含む再建案が提案されたが、経営陣はそれを退け、売却を強行。しかも、営業赤字の状態にもかかわらず、売却益を原資に配当を実施した。さらに、売却されたモリナガの代表がその後、公職選挙法違反事件に関与し逮捕されるという事態に発展。モリナガから転籍した元社員も略式起訴された。一連の対応は、資産の切り売り・ガバナンスの緩さ・説明責任の不十分さを浮き彫りにし、鹿児島銀行が主導する支援体制の妥当性そのものが問われる局面となっている。
スーパーの再建めぐり
都銀の後塵を拝する
鹿児島県下最大手スーパー・タイヨーは、県下に93店舗を配置し売上高1,000億円を超える。地域の消費・雇用を支える中核企業だ。かつて東証二部に上場していた。しかし、一強時代が長すぎたがゆえに競争環境への対応が遅れ、13年に経営危機に陥った。M&Aの食指も伸びるなか、経営陣による自社株買収・MBO(マネジメント・バイアウト)を再建手段に選択した。
上場株式を買い上げ、非上場化するのに要した資金は約450億円。しかしこの際、当時メインバンクであった鹿児島銀行は、慎重姿勢を崩さなかった。このため、「タイヨーの覚悟」を評価した都市銀行から調達した。同行はメイン行の座を滑り落ちた。それから10年、(株)タイヨーは債務を返済し、地域で再び役割を全うしている。鹿児島銀行の懸念先企業への対応と将来性を見極める力を地元企業に知らせる事例となった。
手腕問われる
山形屋の再建
日本屈指の老舗百貨店・山形屋は24年5月より事業再生ADRを活用して経営再建を進めている。メイン行の鹿児島銀行が役員派遣など再建を主導している。当時の負債約360億円のうち110億円を株式化などで圧縮したほか、持株会社を設立。子会社を大幅に削減した。新しいテナント誘致もあり25年2月期は営業利益を確保したが、営業外費用の拡大により最終損益は5期連続の赤字となっている。
今後は不動産資産売却などで債務の圧縮を図っていく。置かれている状況は先述の城山観光に類似する。今回の再建計画は5カ年で29年2月期までに借入金返済はじめ結果を出すことを求められる。鹿児島銀行が地元に“寄り添う金融機関”なのか真価が問われる。

【鹿島】
代 表:郡山明久ほか2名
所在地:鹿児島市金生町6-6
設 立:1944年2月
資本金:181億3,076万円
業 種:銀行
売上高:(25/3単体)895億3,600万円
販売先:城山観光、山形屋、本坊酒造、岩崎産業、明石屋菓子店、ニシムタほか








