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2020年09月24日 07:00

リチウムイオン電池の世界シェア1位に躍り出たLG化学(後)

 電気自動車(EV)時代の到来とともに、世界では電気自動車のコア部品であるリチウムイオン電池にますます熱い視線が注がれている。各自動車メーカーも、電気自動車の性能を左右するリチウムイオン電池の開発に社運をかけている。

 リチウムイオン電池市場で世界シェア1位は韓国のLG化学。同社は電気自動車シェア1位のテスラをはじめ、自動車(完成車)メ-カー上位20社のうちフォルクスワーゲン、ルノー、ボルボ、GM、現代自動車など13社に電池を供給しており、高く評価されている。

完成車メーカーの電池開発の動向

 完成車メーカーの動きを見てみる。トヨタはパナソニックと合弁会社を設立し、電池の研究開発に取り組んでいる。将来の本命の電池として注目が集まっている全固体電池の開発において、トヨタがもっとも先行しているという評価である。米国のGMもLG化学と合弁会社を設立し、電池開発の主導権を握ろうとしている。また電気自動車1位のテスラも、BMWと提携して電池の開発に挑んでいる。

 完成車メーカー各社は、現在は合弁会社を設立して電池の供給を受けているが、5年以内に独自の電池を開発することを目指して電池会社を買収するなど、さまざま動きを見せている。しかし、電池の開発はそれほど簡単ではないという意見もある。たとえば原価の問題、正極材や陰極材の問題、火災の危険性など、課題は山積みのため、完成車メーカーといえども、参入に時間がかかるため、開発が先行している既存の電池メーカーが有利であろうと専門家は指摘する。

 最後に、リチウムイオン電池の現状の弱みについて触れておく。それは爆発の危険性があることだ。リチウムイオン電池の液体の電解質は電気を良く通すメリットはあるものの、高温になると膨れ上がって爆発したり、外部から衝撃が加えられると液が漏れて爆発したりする可能性がある。全固体電池は、液体の電解質を固体化にすることで、爆発の危険性を減らすだけでなく、エネルギー密度の向上や軽量化を実現できる。さらに、充電時間が短くなるため、いいことずくめと言われている。大量生産に向けてはさまざまな課題があったが、来年頃には大量生産の目途も立っているという。全固体電池の開発では、世界でトヨタが先頭を走っているが、サムスンもトヨタを追いかけている。

次世代はリチウム金属電池とリチウム硫黄電池が有力

 次世代の電池として、リチウム金属電池とリチウム硫黄電池が候補に上がっている。リチウム金属電池の強みは、なんと言っても耐久性がある点だ。リチウム金属電池は、リチウムイオン電池に比べて2倍の耐久性があるようだ。リチウム金属電池は、外見こそリチウムイオン電池と変わらないが、陰極材には黒鉛やシリコンの代わりにリチウム金属が使われており、エネルギー密度を1,000Wh以上に高めた電池である。

 リチウム硫黄電池は正極材に硫黄を利用した電池である。リチウム硫黄電池の特徴は、リチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が6倍以上高くなることだと言われている。しかし、硫黄の伝導率が低い点、充電と放電を繰り返すと体積が変化する点、反応性物質が電解質に溶解してしまう現象がある点など、商用化に向けての課題も多かった。ところが、最近ではオーストラリアの会社がリチウム硫黄電池の開発に成功したと発表し、業界の注目が集まっている。この電池が商用化されると、電気自動車の走行距離は2,000kmを超えるといわれるほど目覚ましい技術である。激しい技術開発の競争が繰り広げられる世界の電池市場の動向から、今後も目が離せない。

(了)

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