下水道スタートアップチャレンジ開催“スマートシティにらむも実現は遠い?”(前)
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下水道事業へのICT導入
国土交通省は2019年9月から、下水道業界とIT系など異業種業界とのマッチングを目的に、「下水道スタートアップチャレンジ~下水道を通じたスマートシティの実現~」(主催:国土交通省下水道部、協力:(株)三菱総合研究所)と銘打った交流イベントを開催している。下水道事業へのICT導入による業務の効率化、生産性の向上、新サービスの創出が狙いのようだ。今年9月9日には、3回目となるマッチングイベントをウェビナー(※)形式で開催。席上、AIを用いた下水道管渠の点検、AIを活用した劣化リスクに基づく管路更新シミュレーションなどを手がける異業種テック企業などが出席し、各サービスのプレゼンや、傍聴者との質疑応答を含むディスカッションを行った。400名以上が登録したという。
土木業界のICT化について同省は、16年から「i-Construction」(以下、i-Con)というスローガンを掲げ、建設工事に関係する調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新というすべてのプロセスをICT化し、建設現場の生産性向上を推進している。「2025年までに生産性を20%向上させる」ことは、政府が掲げる目標になっている。
ところが、下水道スタートアップチャレンジの開催概要を見ると、i-Conという文言は一切出てこない。i-Conではなく、いわゆる「スマートシティ」の実現をにらみ、下水道分野でも新しいサービスを提供できないか、考える場を設けようという位置づけになっている。
スマートシティとは、都市が抱える諸問題に対して、ICTなどの新技術を活用し、マネジメントすることで、全体最適化を図る持続可能な都市や地区を意味する。ICTなどの技術とは、IoTやAI、ビッグデータを指す。具体的なサービスとしては、スマートグリッド(最適な送電網)、スマートモビリティ(自動運転)がある。ハイテクによる未来都市的なイメージが世間的にはウケているようだが、一方で、「ハッキングなどにより個人情報がダダ漏れになる」「監視社会になる」といった指摘も絶えない。
※:ウェビナー
ウェブとセミナーを組み合わせた造語。「オンラインセミナー」ともいう ^(つづく)
【大石 恭正】
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