2024年04月20日( 土 )

アップルウォッチ、腕時計の出荷台数で世界1位に(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 長い歴史をもつ時計産業にもデジタル化の波が押し寄せ、大きな変化が生じようとしている。今回は、時計のデジタル化についてのトレンドを取り上げたい。

急速に成長したスマートウォッチ市場

 スマートウォッチ市場は急速に成長を遂げ、今や既存の腕時計メーカーを脅かしている。カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ社の市場調査によると、今年の上半期のスマートウォッチの出荷台数は4,200万台で、前年同期比で20%も成長している。

 スマートウォッチは通信機器としての機能のみでなく、ヘルスケア機能も備えている。スマホアプリと連動させることで、ランニングの走行距離や速度を計測でき、運動量を測ってデータとして表示してくれるため、運動のモチベーション維持に役立ち、ダイエットにもうってつけである。山登りではGPS機能を活用して現在地を確認でき、ゴルフではスイング解析やスコア管理などができ、とても便利である。

 最近では、心拍数や血圧を正確に測れるスマートウォッチも登場している。心電図、心拍数、血圧、血中酸素濃度など測定データを記録しておくことは、緊急時のための備えにもなる。コロナ禍で免疫やヘルスケアに関する関心が高まったことにより、自分の健康状態をモニタリングしたいという要望が多いことも、スマートウォッチ市場の成長の1つの要因となっている。

スマートフォン製造企業の新しい激戦区

 アップルはこのような状況下で、スマートウォッチ市場の半分以上のシェアを占め、売上高1位を維持している。スマートウォッチ市場では、上半期のアップルのシェア(売上高が基準)は51.4%である。2位はGamin(ガーミン、9.4%)、3位はファーウェイ(8.3%)、4位はサムスン電子(7.2%)となっている。サムスンは昨年の上半期は2位(9.3%)であったが順位を落としている。

 機種別にみると、1位はアップルの「アップルウォッチシリーズ5(Apple Watch Series 5)」、2位は「ファーウェイウォッチ GT2(HUAWEI WATCH GT 2)」、3位は「サムスンギャラクシーウォッチ アクティブ2(Samsung Galaxy Watch Active 2)」と続いている。

 「HUAWEI WATCH GT2」シリーズは、中国のみでなく、東南アジアでも人気を博し、販売台数を伸ばした。さらに、ファーウェイは1万円以下の「HUAWEI Watch Fit」を発売した。この製品の最大の特徴は、生活防水機能と最長で10日間、充電なしで使用できることだ。また、この価格でありながら、GPS機能、 加速度計、気圧計も内蔵されており、睡眠のチェック、位置の追跡、心拍率の計測などの機能を備えている。

 従来のスマートウォッチは3万円以上の商品が大半を占めていたが、数カ月前から1万円以下で購入できる低価格帯の商品も増えてきた。今後、スマートウォッチの時計業界における躍進は、どこまで続くのだろうか。時計業界から目が離せない。

(了)

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