2024年05月06日( 月 )

豪雨災害とコロナ禍を乗り越え元気な大牟田市の実現へ

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

大牟田市長 関 好孝 氏

人・交通・産業の強み

 ――大牟田市のポテンシャルについては、どう思われますか。

 関市長 まず交通インフラの面では、市の北東部を九州自動車道が通り、市内を南北に貫く幹線道路である国道208号、そして何より地域高規格道路である「有明海沿岸道路」の整備が進んでいます。加えて、JRや西鉄、新幹線といった鉄道路線が充実するほか、県の重要港湾である三池港もあります。交通インフラの面では、大きなポテンシャルのあるまちだと考えています。

 次に産業の面においても、歴史的にも石炭に関連する化学工業が発展し、化学コンビナートの関連会社や協力会社など市の雇用を支えていただいている企業があります。加えて、分野によっては、日本トップクラスのシェアを誇るメーカーなど元気な中小企業も多く存在し、働く場があるまちだと思っています。

 そして何よりも、大牟田が好きで、「大牟田を良くしたい」「大牟田を元気にしたい」という思いをもった、地元愛の強い市民の皆さまが数多くいらっしゃいます。このように大牟田市は、人の面、交通の面、産業の面など、さまざまな要素によって大きく発展する可能性を秘めており、非常に大きなポテンシャルをもっているまちだと思っています。

本格復旧に向けて

 ――「令和2年7月豪雨」では、市内でも大きな被害が出ました。

 関市長 今回の豪雨では、かつて経験したことのない記録的な豪雨が短時間に集中したことで、市内各所で床上・床下浸水や道路・田畑の冠水、ガケ崩れなどが相次いで発生しました。この災害でお2人の方がお亡くなりになりました。心より、ご冥福をお祈り申し上げます。また、多数の家屋や事務所に大きな被害などが出たところです。

 これまで本市では、被災した市民や事業者の皆さまに対する支援を行うとともに、被災箇所の応急復旧などに取り組んできましたが、10月1日に「大牟田市豪雨災害復旧・復興推進本部」を設置し、今後は、被災された皆さまの生活再建、そして、被災箇所の本格的な復旧・復興に取り組んでいくこととなります。

 ――今回の豪雨災害の経験を踏まえて、改めて災害に強いまちづくりを進めていかれるわけですね。

 関市長 今回は記録的な豪雨により、市内の各地で浸水被害が発生しました。このため、何と言っても雨水の排水対策に真っ先に取り組んでいかなければなりません。8月には防災や都市の浸水対策などの専門家による「大牟田市令和2年7月豪雨災害検証委員会」を設置し、今回の豪雨災害の原因や市の対応などについての検証結果を年内には取りまとめていただく予定です。

 本市としては、この検証結果も踏まえながら、災害に強いまちづくりをどう進めていくかについて検討し、実行してまいります。インフラ整備などのハード面はもちろん、市民の防災意識醸成などのソフト面でも、行政と市民とが一緒になって、災害に強いまちづくりにしっかりと取り組んでいきたいと思います。

「住んでみたくなる」まちに

 ――今年度からスタートした「第6次総合計画」のポイントは。

 関市長 今後4年間のまちづくり指針である第6次総合計画では、「将来にわたって安心して暮らし、本市に住んでいることを自ら誇ることができるようなまちづくりを、市民とともに実現をしていく」と謳っており、将来像として「人が育ち、人でにぎわい、人を大切にする ほっとシティおおむた」の実現に取り組んでいきます。

 私自身は昨年12月の市長就任時から、3つのまちづくりを目標に掲げております。まず1つ目の「若者が夢をもって働くまちづくり」では、たとえばAIやITなどの先進的な企業を積極的に誘致していくほか、本市がイノベーション創出の拠点となるような環境を整えていく方針です。

 2つ目の「子育て世代に魅力的なまちづくり」は、安心して子育てができる環境づくりを進めていくというものです。実は大牟田市には、34カ所の保育所や幼稚園などがあり、待機児童ゼロと、子どもを育てやすい環境が整っています。これについてはもっとPRしていく必要があると考えています。また、ESD(持続可能な開発のための教育)などの特徴ある教育にも力を入れているほか、子ども医療費助成についても中学生まで行っています。これらの取り組みについては継続してまいりたいと考えています。

 3つ目の「安心して元気に暮らせるまちづくり」は、本市の特徴の1つである“高齢者が元気なまち”をさらに推し進め、元気に自立して日常生活を送ることができるよう、健康寿命を延ばすための「フレイル予防」などに取り組んでまいります。今回の第6次総合計画を通じて、これらのまちづくりの実現を目指していきたいと思っています。

 加えて、今回のコロナ禍と豪雨災害を受けて、来年度に向けては「災害からの復旧・復興と災害に強いまちづくり」と「新型コロナウイルス感染症対策と地域経済の活性化」というさらに大きな2つの柱を加え、全体として5つの柱でのまちづくりを進めていきたいと考えています。

 ――最後に、大牟田市の将来に向けて、関市長の想いをお聞かせください。

 関市長 実は市民アンケートでは、約7割の市民の皆さまが「大牟田は住みやすい」「ずっと住みたい」と回答されています。本市が住みやすいまちであることは間違いありませんが、市外の方々には、残念ながらそのイメージがあまり伝わっていないのが実情です。大牟田に「住んでみたくなる」ような本市の魅力を、しっかりと発信していく必要があります。

 喫緊の課題としては、本市の災害からの復旧・復興を進めると同時に、新型コロナウイルス感染症対策と、コロナ禍でダメージを受けている地域経済の活性化策を講じていかねばなりません。そのうえで「人が育ち、人でにぎわい、人を大切にする ほっとシティおおむた」につながる元気なまちづくりを進めていきます。

 冒頭申し上げたように、大牟田市には多くの地域資源・財産があり、大きなポテンシャルを秘めています。大牟田のまちが元気になり、市民の皆さまが安心して住んでいただくとともに、全国の皆さまが「大牟田に住んでみたい」と思っていただけるような魅力あるまちづくりに向けて、市民や事業者の皆さまとともに全力で取り組んでいきたいと思います。

【坂田 憲治】


<プロフィール>
関 好孝
(せき・よしたか)
1959年1月、大牟田市出身。早稲田大学政治経済学部を卒業後、82年に福岡県庁に入庁。商工部商工政策課長や人づくり・県民生活部 私学振興・青少年育成局長、環境部長などを歴任し、2019年3月に福岡県庁を退職、同年6月に(一財)九州環境管理協会の副理事長に就任。同年11月の大牟田市長選で初当選し、同年12月に大牟田市長に就任した。

関連記事