2024年04月20日( 土 )

訪問調剤の社会インフラ構築で地域包括ケア実現を後押し(後)

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HYUGA PRIMARY CARE(株) 代表取締役 黒木 哲史 氏

 ――地域包括ケア時代において、調剤薬局に求められるものは。

 黒木 近年、ドラッグストアでも調剤併設型店舗が増えていますし、調剤専門の薬局は、より具体的な役割を打ち出すことが必要になってきました。16年度の調剤報酬改定で始まった「かかりつけ薬剤師・薬局」制度では、薬・健康・介護などに関する豊富な知識と経験をもった薬剤師が、地域包括ケアシステムで担う役割を期待されています。患者さま本位のきめ細やかな対応で、地域医療との連携を図り、地域包括ケアシステムの一端を担うことが調剤薬局の使命であると思います。

 最近では遠隔(オンライン)服薬指導が注目を集めています。これは薬剤師が患者さまに対して、タブレット端末などを用いて服薬指導を行うものです。新型コロナ対策緊急措置として4月10日より規制緩和されたことで、浸透が加速しました。当社は18年、全国に先駆けて福岡で実証実験を行いましたが、診療から薬の受け取りまで自宅で完結できる特性を生かし、離島や僻地などでの訪問診療と併用して、実績をつくっているところです。

 ――今後の地域包括ケアに対する考えや展望は。

 黒木 当社は10月1日付で、HYUGA PRIMARY CARE(株)へと商号変更を行いました(変更前・Hyuga Pharmacy(株))。ボランタリー事業を拡大させていくなかで組織変更もあり、さらに今後も複合的な事業展開に力を入れていく総合医というイメージを示しました。現在、薬歴などの蓄積したデータを基に、自社独自の薬剤情報システムの開発にも取り組んでいます。一部はボランタリー先に提供していますが、IT活用による患者さまの服薬情報の一元的・継続的な把握もまた地域包括ケアシステムの実現に必要ですので、今後も実証実験に基づいたシステム構築に注力していきます。

 医療機関である調剤薬局は、時代のニーズに合わせて常に変化を求められています。当社が調剤薬局の常識を変えていけるような、地域包括ケアシステムのプラットフォーマーになりたいと思っています。

(了)

【松本 悠子】


<COMPANY  INFORMATION>
ヒュウガプライマリーケア(株)
代 表:黒木 哲史
所在地:福岡県春日市春日原北町2-2-1
設 立:2008年1月
TEL:092-558-2120
URL:https://kirari3.com


<プロフィール>
黒木  哲史(くろぎ・てつじ)
1978年宮崎市生まれ。第一薬科大学卒。調剤薬局での勤務、大手製薬会社のMRなどを経て、2008年に独立開業。現在では福岡・佐賀・東京・千葉・神奈川で33店舗の「きらり薬局」を展開している。

(前)

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