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2020年11月17日 09:30

『007』のジェームズ・ボンド役 ショーン・コネリーが愛したバハマの魅力(3) 未来トレンド分析シリーズ 

国際政治経済学者 浜田 和幸

 映画俳優のショーン・コネリーが90歳の生涯を閉じた。10月31日のことである。世界中の多くのファンがその死を悼んだに違いない。何しろ、アメリカの大衆誌「ピープル」がコネリーのことを「生存するもっともセクシーな男」に選んだのは、彼が59歳の1989年のこと。そのニュースに接し、コネリーが唸った言葉が振るっていた。「セクシーかどうかは死んだ時に決まる」。要は死に際において、あるいは、死に直面したときに、その人物の本当のセクシーさというか魅力が定まるというわけだ。

ブロックチェーン技術を活用

 「ブルーエコノミー」という言葉がある。青い海をイメージさせるバハマ政府の造語である。このキャッチコピーのおかげで、海外から探検家、投資家から観光客まで引き寄せているわけだ。タイタニック号の引き上げにも貢献した探検家のデイビッド・ガロ氏をはじめ、世界中の名だたるトレジャーハンターが100人以上もバハマに集まってきている。彼らは最新の探査技術を駆使し、沈没船の引き上げレースにしのぎを削っているのである。

 このように沈没船の引き上げが盛んになった背景には、地球温暖化も影響しているようだ。もちろん、気候だけではなく、潮の流れも変わってきているので、探査や引き上げが以前ほど困難でなくなってきたという。新しい探査、回収技術も、自然環境の変化も取り入れて、バハマはカリブ海諸国のなかでもひときわユニークな存在となっていることは注目に値しよう。

 さらに、世界が注目しているのは、バハマ政府が引き上げたお宝を鑑定し、その価値を保証するために、ブロックチェーンの技術を使うという画期的なビジョンを温めていることである。日本でもブロックチェーン技術に対する関心は一部の金融機関を軸に高まってきているが、デジタル庁の創設を看板に据える政府ですら、この新たな技術の応用については暗中模索状態にある。

 バハマの政策はブロックチェーンによって暗号通貨(暗号資産)が新たなデジタル社会の資産になることを見通してのこと。目の前で引き上げを待っている財宝の数々をネットでつながった台帳(参加者全員から監視される)に載せることで、移動や取引の履歴が改ざんされなくなる。沈没船から回収された貴重な金銀財宝をしっかり管理し、お互いがその価値を保証する仕組みをつくろうという試みに他ならない。

 これまでのバハマの主要産業といえば、観光業とタックスヘイブン(租税回避地)などの金融業であった。当然、ブロックチェーン技術の活用方法についても研究を重ねてきたようだ。なぜなら、近年、世界各地で開催されるブロックチェーン技術に関する研究集会には必ずといっていいほどバハマからの参加者がいるからだ。新たな技術を積極的に取り入れ、自分たちのお宝に結び付けるという発想はユニークで、飛び抜けている。自分たちの強みを未来に活かしていこうとする試みは、日本としても大いに学び、協力していくべきであろう。

 それというのも、今、ブロックチェーン技術は単にマネーの決済だけではなく、そのトレーサビリティを活かしてさまざまな生活やビジネスの場面で応用しようとする実験が世界中で進んでいるからだ。この分野で最先端を走っているのは中国である。習近平国家主席の肝いりで、2020年10月からは香港に隣接する深圳を中心にブロックチェーン技術を使った電子決済システムの大規模実証実験が始まった。実は、バハマは中国から新たな技術の導入に関しての支援を得ているのである。

 その意味では、中国はバハマだけではなく、広くカリブ海全域から南米大陸に至るまで、「一帯一路」計画に組み込むべく支援の輪を被せようとしているように見える。キューバをはじめカリブ海はフロリダ半島の目と鼻の先であり、アメリカにとっては裏庭のような存在である。かつてソ連がキューバにミサイルを持ち込み、アメリカの喉元に匕首を突きつけるという「キューバ危機」が起こった。その再来となりかねない状況が中国によって着々と進んでいると言っても過言ではない。

(つづく)

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)

 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。

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