2024年05月08日( 水 )

10月のM&A件数、前年割れも累計数は好調~ストライク調べ

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 M&A仲介・ストライク(東証一部)は、10月のM&A動向()を集計した。M&A件数は前年同月比5件減の69件となり、3カ月連続で前年を下回った。1月からの累計では前年を上回るペースを維持しているが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、対面で買収価格などの事前調整が難しくなったことが悪影響をおよぼしている可能性がある。前月比では8件増えた。九州・沖縄地域のM&A発表件数は3件で、取引金額は3億8,600万円だった。

 月間のM&A件数が3カ月連続して前年比でマイナスとなるのは2019年8~10月以来1年ぶり。10月単月を過去10年でみると、今年の69件は3番目で、なお高水準にある。海外案件は15件、うちほぼ半数が売却案件で、不採算の現地事業を切り離す動きが目立った。
 10月の取引金額は6,505億円。8月、9月と続いた取引金額1兆円を超える超大型M&Aは途切れた。

 金額トップとなったのは、NECが大手金融ソフトウエア企業アバロック・グループ(スイス)を買収する案件。金額は約2,360億円。NECが強みとする生体認証、AI(人工知能)、ブロックチェーン(分散型台帳)技術などを組み合わせ、世界的規模で進展する金融DX(デジタルトランスフォーメーション)領域での事業強化を狙いだ。

 島忠に対して、DCMが10月初めにTOBを開始した。TOB成立は確実視されていたが、10月末にニトリが対抗TOBに名乗りを上げた。買付価格はDCMを1,300円上回る5,500円を提示。ニトリは11月中旬にTOBを始める予定。

九州・沖縄のM&A案件

 ランサーズはマッチングサービス「MENTA」を運営するするイリテク(福岡市)の株式を取得し子会社化した。取得価格は2億2,600万円。MENTAは約1万9,000人のメンティー(学びたい人)が利用しており、約1,500人のメンター(教えたい人)が登録している。一方のランサーズはフリーランスと仕事をマッチングするサービス「Lancers」(累計115万人が登録)を展開しており、イリテクを傘下に取り込むことで、フリーランスや副業者にスキルアップの機会を提供する。

 ゴルフ・ドゥは「ゴルフ・ドゥ!」のフランチャイズ店を運営するゴルフ・ドゥ九州(熊本市)から6店舗を取得することを決めた。九州で直営事業の強化を図る。取得価格は1億6,000万円。取得する6店舗は福岡有田店(福岡市)、春日店(福岡県春日市)、佐賀北店(佐賀市)、熊本南店(熊本市)、菊陽バイパス店(熊本県菊陽町)、東大分店(大分市)で、いずれも黒字店舗という。

 三ツ知は精密機械金型設計・製作の創世エンジニアリング(福岡県久留米市)の全株式を取得し、子会社化することを決めた。取得価格は非公表。創世エンジニアリングは通信、医療、自動車道、半導体分野の顧客を抱えており、三ツ知は創世エンジニアリングの顧客基盤を活用することで事業の拡大を目指す。 

主なM&A案件
1、NEC、スイスの金融ソフト大手アバロック・グループを買収(2,360億円)
2、ニトリホールディングス、島忠の完全子会社化を目的にTOBを開始予定(2,142億円)
3、DCMホールディングス、島忠をTOBで完全子会社化(1,636億円)
4、アステラス製薬、体内埋め込み型医療機器開発の米iota Biosciencesを子会社化(134億円)
5、アウトソーシング、外国人向け人材サービスのアバンセホールディングス(愛知県知多市)を子会社化(45.6億円)
6、タカラトミー、おもちゃメーカーの米Fat Brain Holdingsを子会社化(43.3億円)
7、アスコット、マンション分譲のTHEグローバル社(東証一部)を子会社化(30億円)
※:適時開示ベース、グループ内再編は除く ^

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