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2020年11月21日 07:00

ストラテジーブレティン(266)2021 年の景気拡大前に、投機化する米国金融~日本株式の相対優位鮮明に~(後)

 NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
 今回は2020年11月17日付の記事を紹介。


(3)2021年に予想される金融市場の趨勢

FRBの超々金融緩和は終盤である可能性

 鍵となる米国長期金利は8月に0.5%であり、ボトム長期上昇トレンドに入ったとみられる。米金融緩和は弾力的でありプラグマテックである。景気とワクチンおよび財政による経済支援策次第であるが、これ以上の緩和はない可能性があるとすれば、ドル安も終焉するのではないか。

 2021年の後半までには、11年を起点とした長期ドル高基調に戻っていくと思われる。21年後半に期待される米国景気の本格回復、長期金利の趨勢変化のもとで、株式の物色は景気に敏感ないわゆるバリュー株にシフトしていくだろう。グロース株の一定の調整が予想される。

2021年、米国は投機の年に、日本が安全地帯に

 21年の金融市場のもっとも大きな特徴は高まる投機性、高止まるボラティリティであろう。「ボラティリティ」=「投機性の強さ」は、基本的には、株式の超過リターンの大きさによって決定されると考えられる。

 金利が低く株式の超過リターンが大きいとなれば、投資家はレバレッジを高めてより大きな投資成果を追求する。その高レバレッジポートフォリオの高リターンは、時折到来する市場の大波によって逸失する。このボラティリティコストを通して、株式に存在する超過リターンはさまざまな市場参加者、金融機関、投資家に再配分される、というメカニズムが存在している。

 10年代を通しての日本株式の荒い値動きの原因は、著しい低金利の下で、「株式益回りとの差」=「超過リターン」が著しく高かったためといえる。投機ポジションの妙味がとても大きかったのである。

 しかしコロナショック以降、米国の長期金利が急低下し、株式益回りとの差である超過リターンは、米国が日本以上に大きくなった。この大幅な超過リターンに引きずられて、世界の投機プレイヤーは米国株式市場に吸い寄せられていると考えられる。

経済回復、潤沢な投資資金と投機性という金融環境は、適切な投資対象を探しにくくする

 景気回復、インフレの高まりと長期金利の上昇により、国債・現金などのリスクフリーアセットがむしろ危険になるのではないか。他方、株式はボラティリティが高まり、投機化しているため(バブル化とはいえない)投資対象としては扱いが難しい。コロナの影響が小さく経済回復が顕著なアジア株が注目されるが、アントファイナンシャルの挫折に見られるように、中国投資にもリスクがある。

消去法的に見ても、日本株が有望な選択肢になるだろう

 このなかで、日本株式の安定性が注目を集めている。米国株式とは対照的に、日本株のボラティリティが相対的に大きく低下し、日本は低リスクの市場になった。

 20年9~10月の米国株の10%の変動に対して、日本株式は3%にとどまっている。いわば日本株は、世界有数の危険地帯から安全地帯へと移行したのである。10年代を通して日本株式市場は著しく投機的でボラリティが高く、個人などの投資家は近づき難かった。日本株式取引の7割を占める外国人投資家は、投機(トレード)目的主体のプレイヤーであったためである。

 しかし、そうした小鬼(投機プレイヤー)らがNY市場に移動したことによって、日本市場に落ち着きが戻ってきたようである。

(1)コロナ感染少なく、経済正常化の加速が見込まれること。
(2)世界的景気拡大のなかで、景気敏感セクターの日本株へ。
   ⇒中国回復の恩恵を受けたグローバル企業の業績が好転。
(3)菅改革政権の登場に対する評価。
(4)ウォーレン・バフェットの商社株投資に触発される
(5)日本株式の需給は極めて良好、海外投資家の日本株投資のアンダーウェイト。
(6)バリュエーションは先進国で最低。

 など、探せば日本株式投資を大きく積みます要因が山積している。

日銀のクレバーな新金融政策

 日銀による新たなオペレーションが注目される。QE(量的緩和策)を抑制し、長期金利の上昇を容認、他方で経営改革を打ち出す地銀に対して当座預金に0.1%の付利をつけ、事実上の補助金を与えるという経営支援である。

 加えて、イールドカーブのスティープ化で金融機関収益は改善される。こうした条件の下では円高が進行すれば、直ちにマイナス金利の深堀が可能となり、改革を促進し、返す刀で円高投機を抑えるという妙手となる。

 1ドル100円以上の円高の心配は消えた、と言っていいのではないか。外国人がもっとも評価するものは、この新政策かもしれない。

(了)

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