• このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年11月22日 07:00

黎明期から戦国時代に突入 シェアオフィス業界に求められる変革(中)

fabbit(株) 代表取締役社長 田中 保成 氏

 アメリカで生まれ、日本でもニーズが高まっているシェアオフィス業界。東京や大阪などの大都市を中心に供給エリアが拡大するとともに、外資系企業や国内企業の新規参入もあって市場は拡大し続けた。そんななかで起きた新型コロナウイルスの感染拡大。コロナ禍はシェアオフィス業界にさまざまな影響を与えている。コワーキングスペース 「fabbit」を運営する fabbit(株)代表取締役社長・田中保成氏に業界の最前線と今後の動向について聞いた。

 ――fabbit宗像開設の経緯を教えてください。

 田中 それまでは大都市、もしくはビジネス街といわれる地域を中心に拠点を開設することが多かったのです。宗像市で開設に至ったポイントの1つとしては、やはり自治体としてスタートアップ支援や中小企業の第二起業支援に力を入れていたということがあります。

 宗像市行政の方々の熱量が非常に高かったことに加えて、東京から移住される方、もしくはUターンで戻って起業される方々がサポーターとしてfabbit宗像を応援していただけることも大きな要因でした。単純に人口の多さや市場規模だけを考慮して決めるのではなく、官民共同型事業にとって宗像市はとても魅力的だったのです。

 ――ハワイではアドバイザーの協力があったということですが、多くの著名人がアドバイザーとして協力されていますね。

 田中 そうですね。元シティグループ証券(株)・取締役元副社長の那珂通雅さん、Blackstone Group Japan元代表でトラスト・キャピタル代表取締役CEOの藤井ダニエル一範さん、Mountain PartnersおよびConny & Co.の創業者であり09年にヨーロピアン・ビジネス・エンジェル・オブ・ザ・イヤーを受賞したCornelius Boerschさん、アップル米国本社副社長兼日本法人代表を歴任された(株)リアルディア代表取締役社長・前刀禎明さん。

 こういった皆さまは幅広いネットワークをもたれていますので、海外への事業展開がスムーズにいっているのはアドバイザーの方々の力も大きいと思います。不定期ではありますが、スタートアップ企業への支援として、アドバイザーが個々に、販路拡大、資金調達、組織人事などさまざまな方面の相談に乗ることもできます。「支援」と一言で言ってもその方法はさまざまで、設備や環境などのハード面だけでなく、ソフト面でもサポートしており、これは他社との大きな違いだと思います。

 ――他社との違いということでしたが、業界全体はどのような状況でしょうか。

 田中 事業が軌道に乗っているところと、そうでないところの明暗がはっきり出始めていると思います。当社は成長戦略の一環としてM&Aを視野に入れておりますが、シェアオフィス買収の話をいただくこともあります。このような場面でも優勝劣敗が出てきていることがわかります。もともとはフラグメントな業界だったのが、勝者と敗者に二極化しつつあると思います。

 大きなトレンドとしては、大企業も含めてオフィスの在り方が見直されてきているということがあります。すでに一部の大企業がオフィス面積を半減すると発表しました。自宅でのリモートワークという働き方がある一方で、在宅勤務が難しい人にとってはシェアオフィスやコワーキングスペースのニーズが高まっているのです。黎明期に多く見られた大都市型だけでなく、これからは郊外型のコワーキングスペースが注目されていくのではないかと思います。

 ――黎明期からいわば「戦国時代」に突入している状況といえますか。

 田中 そうですね。その他の業界でも同様のことがいえますが、ここで勝ち残っていくためには常にサービスや体制を磨いていく必要があります。とくにこの業界は市場として自然に起こり得る変化や働き方改革という労働環境の変化に加えて、コロナ禍という突発的な変化もあるため、業界にもたらされている変化がより加速化している状況にあります。だからこそ、どうやって差別化を打ち出し、磨き上げていくか。ここに長期的に生き残るための差異が生まれてくると思っています。

fabbit Global Gate waySan Francisco

(つづく)

【麓 由哉】

<COMPANY INFORMATION>
fabbit(株)

代 表:田中 保成
所在地:東京都千代田区大手町2-6-1
設 立:2017年4月
資本金:1,000万円

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2021年01月26日 14:05

【企業研究】「凋落するメディア事業」〜西日本新聞社

 ブロック誌の雄として九州地区に君臨してきた(株)西日本新聞社だが、近年の業績は下降推移だ。20年3月期では本業の新聞発行を中心としたメディア関連事業で営業赤字に転落...

2021年01月27日 17:53

『脊振の自然に魅せられて』大雪の脊振山へ(後)

 脊振山頂駐車場に停めた愛車の車内で、粉末の即席ぜんざいをコップに入れ湯を注ぐ。コンビニで買ったソフトパンを頬張り、ぜんざいとともにお腹に流し込んだ。ようやくエネルギ...

2021年01月27日 17:42

山村の過疎化地域で「小水力発電」~消滅の危機に瀕する山間地産業が復活(後)

 第二次世界大戦以前の日本では、都市部への電力供給のために巨大ダムが建設されると同時に、全国の農村部では村役場や住民有志が資金を集めて建設した小水力発電が普及していた...

2021年01月27日 17:00

政府債務論のコペルニクス旋回、日本は反省せよ~イエレン・パウエル連携は強力な株式支援に(2)

 イエレン氏に呼応する形で、パウエル議長も財政債務論の見直しに踏み込んでいる。パウエル議長は景気回復と財政の持続性はともに重要であり、政府債務のGDP比は高いが、国債...

2021年01月27日 16:42

【2/17~26】日中芸術交流展 山田ゆかり×武楽群「響き合う世界」~五感すべてを使って楽しめる新感覚のアート

 毎日を生きるなかで、つい忘れがちな「ときめき」を、抽象画や写真とのコラボレーションで斬新な世界をつくり出すことで表現しているアーティストの山田ゆかり氏と、多くの油絵...

2021年01月27日 16:25

大和力を、世界へ。コロナ禍のなかでアートにできること(2)

 『長野にも仕事場があるんですが、これまでは長野と東京などの都会を行き来することで自然とバランスをとっていたところがあって、それができなくなったので最初のころは大変で...

「復興五輪」悪魔の正体

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「日本はいま『原子力緊急事態宣言』下に置かれている。被ばく線量の上限が変更...

2021年01月27日 14:41

【福岡県に緊急事態宣言】(16)緊急事態宣言と飲食店主・現場の声(2)

 福岡市南区にある創作料理店を営む店主(個人事業主)は2度目の緊急事態宣言の影響について、下記のようにコメントした...

2021年01月27日 14:05

緊急事態宣言下の首都圏、“路頭”に迷いつつある営業マンら〜耐えることしかできないのか

 「前回の緊急事態宣言時とは違い、外回りの営業をしています。しかし、アポはほとんど取れず、売上は既存客との電話による商談のみです。会える人はごく僅かですが、それでも可...

2021年01月27日 13:37

ネットバブルの寵児、折口雅博氏の自伝『アイアンハート』を読む~逃避先の米国で、あのトランプ前大統領の知遇を得て再起!!(3)

 折口雅博氏がベンチャー起業家として脚光を浴びたのは、1999年から2000年にかけてのネットバブルの狂乱時代である...

pagetop