2024年04月19日( 金 )

アンピール百年橋でも鉄筋不足!(前)

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 6月16日掲載のNetIBNewsにおいて、新栄住宅(本社:福岡市)が分譲したアンピールシリーズマンションについて構造設計の偽装があったとして、構造設計一級建築士仲盛昭二氏が分譲会社である新栄住宅に対し質問書を送付したことを報じた「アンピールマンションの設計偽装 仲盛昭二氏が新栄住宅へ質問書を送付!」)。
 質問書の対象となったマンションの1つ「アンピール百年橋」においても、柱の鉄筋量が大幅に不足していることを、仲盛氏が明らかにした。

 「アンピール百年橋」については、6 月に仲盛氏が新栄住宅に送付した質問書において

 (1)1階鉄骨柱脚が非埋め込み型であることを考慮した構造計算が行われていない。
 (2)非埋め込み型柱脚の鉄量(鉄筋量)が規準よりも49%不足している。
 (3)耐震壁方向に鉄骨が配置されていないが不適切な鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の係数により構造計算が行われている。

 上記の3点を指摘している。
 以前、仲盛氏が、アンピール百年橋について新栄住宅に送付した質問は下記の通り。

【質問1】張間方向に鉄骨が存在しない架構を有する場合の保有水平耐力計算における構造特性係数Ds値の不正について

 張間方向に鉄骨が存在しない架構の場合、張間方向の保有水平耐力計算において、低減されたSRC造のDs値(構造特性係数)ではなく、RC造のDs値を用いた計算をしなければ法令規準違反になります。しかし、アンピール百年橋では、RC造のDs値ではなく低減されたSRC造のDs値(構造特性係数)を用いた計算不正な構造計算が行われています。

 貴社は、法令違反の設計が行われたマンションを販売された事実を認めますか?
 もし、認めない場合は、アンピール百年橋が法令違反でなく、適正な耐震強度を有していることを、構造計算書の該当箇所を示して具体的な説明をお願いいたします。

【質問2】アンピール百年橋は、1階鉄骨柱脚が非埋め込み形であり、1階の構造特性係数(Ds)をRC造の値としなければならないところ、SRC造として低減されたDsにて計算が行われています。貴社は、法令違反の設計が行われたマンションを販売された事実を認めますか?

 もし、認めない場合は、アンピール百年橋が法令違反でなく、適正な耐震強度を有していることを、構造計算書の該当箇所を示して具体的な説明をお願いいたします。

【質問3】アンピール百年橋の1階鉄骨柱脚は非埋め込形なので、1階鉄骨柱脚の鉄量は柱頭の鉄量と同等以上でなければならないと定められています。しかし、アンピール百年橋の1階柱脚の鉄量は柱頭の51%しかなく、規定に対して49%も不足した状態となっています。貴社は、アンピール百年橋の1階柱脚の鉄量が規定を満足していない法令違反の状態であることを認めますか?

 もし、認めない場合は、アンピール百年橋が規定を満たしていることを立証してください。

 この質問に対する新栄住宅・設計事務所・福岡市の回答は

新栄住宅からの回答

 設計事務所に確認したところ、当時の法令に則って適正に構造計算を行っており、違法性はない。行政の確認審査による確認済証ならびに完了検査による検査済証を受領しており、適切に計画されたものと考える。

設計事務所:群設計工房からの回答

 新栄住宅に報告しているので、直接の回答はしない。

福岡市建築指導部長からの回答

 確認申請書は保存年限を超えており廃棄されているが、建築確認当時の建築基準法の規定について審査を行い、適合を確認のうえ建築確認済証を交付したものと思われる。

 今回仲盛氏が明らかにしたのは、「耐震壁方向に鉄骨が配置されていない柱の鉄筋量が不足していること」である。

(つづく)

【桑野 健介】

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(後)

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