2024年04月20日( 土 )

アンピール百年橋でも鉄筋不足!(後)

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 非埋め込み型柱脚の鉄量が49%も不足し、柱の鉄筋量が全体で1,584 本も不足していることは重大な欠陥である。
 以前仲盛氏からの質問に対する新栄住宅の回答は「行政の確認審査による確認済証ならびに完了検査による検査済証を受領している」、設計事務所の回答は「新栄住宅に回答済み」、福岡市の回答は「建築確認当時の建築基準法の規定について審査を行い、適合を確認のうえ建築確認済証を交付したものと思われる」となっている。

 仲盛氏によれば、

 行政による建築確認は「性善説」に基づいているので、虚偽の設計による確認申請を想定していません。1500 本を超える鉄筋が不足している設計を見落とす行政も如何なものかと思いますが、根本的な責任は不適切かつ違法な設計を行った設計者とマンション販売業者にあります。エンドユーザーであるマンション区分所有者は、マンションが適法な状態であることを前提とした価格で鉄筋不足・耐震強度不足のマンションを購入させられたのです。仮にマンションを売却するとしても、鉄筋不足・耐震強度不足のマンションが、売主が望むような価格で売れるはずはありません。

 鉄筋不足・耐震強度不足のようなマンションの重大な瑕疵は重要事項説明書に記載しなくてはなりません。瑕疵を隠して売却した場合には、売主は買主から契約解除や損害賠償を求められることになります。

 売却できないほど資産価値が減少した原因は違法かつ不適切な設計にあるので、区分所有者はマンション販売会社や設計事務所に対して、「マンションを適法な状態に戻せ」と求めるべきだと思います。もし、大地震が発生し、このマンションが倒壊するようなことがあれば、近隣の住人や建物などに被害を与えることになります。そうなれば、マンション区分所有者は加害者の立場となってしまいます。

 これは、先日提訴された「パークサンリヤン大橋」と同じことであり、訴訟に値するほど重大なマンション欠陥の案件です。他のマンションにおいて耐震強度不足や不適切な設計が判明した際に「マンションの欠陥が報道されたから売れなくなった」という声がありました。先ほども話したように、耐震強度不足や不適切な設計といったマンションの瑕疵は重要事項説明書に記載しなければならない事項であり、これを隠してマンションを売却することは言語道断です。マンションの瑕疵により資産価値を低下させたのは、瑕疵を指摘した者ではなく、不適切な設計を行った設計事務所と販売した業者であることも、重ねて述べておきます。「アンピール百年橋」の区分所有者は、自分たちの資産と生命を守るための行動を起こすべきではないでしょうか。

 また、違法かつ不適切な設計を行った建築士は建築士法第10 条、38 条、39 条により懲役または罰金刑を受けると定められています。アンピールマンションの設計を行った設計者が、1500 本以上も鉄筋が不足した設計を行っていながら正当化するのであれば、その設計者が関与した物件も同様の不適切な設計が行われている可能性が極めて高いので、調査を行い、その事実を公表したいと考えています。

 仲盛氏は上記のように話した。新栄住宅はアンピール百年橋以外にも多くのマンションを分譲しているので、鉄骨鉄筋コンクリート造のアンピールマンションを列記する。

 これらのマンションも同じ設計思想により設計が行われている可能性は否定できないのではないか。もし、新栄住宅が適法性を主張するのであれば、法的・工学的根拠を基に構造計算書の該当箇所を示しせば済むことなので、マンション区分所有者のためにも、ぜひ実行していただきたい。

(了)

【桑野 健介】

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