2024年04月17日( 水 )

新日本ホームズの空き家プロジェクト 旧新興住宅地の顔となる美しい家へ

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小嶺台の空き家跡地

空き家面的対策モデル地区(2)

 北九州市八幡西区小嶺台―国道211号線に隣接し、北九州都市高速道路4号線へのアクセスに優れた立地で、鉄道駅からは遠いものの、バス便は充実しているエリア。福岡市中心部へも高速バスで結ばれている、北九州市が都市化した際の南西端ともいえる新興住宅地だ。三六町や新池のように未接道の空き家というわけではないが、住宅地内に空き家が散見される状態になっていた。きちんと手入れされた住宅も多いものの、いくつかの空き家が今後、メンテナンスもされずに老朽化していく懸念があった。

 空き家再生プロジェクトに手を挙げたのは、北九州市と福岡市に拠点を置く新日本ホームズ(株)。福岡県内を中心に年間60棟の注文住宅を施工する工務店だ。本プロジェクトは1棟の空き家を解体し、1棟の新築戸建を建築するというもの。敷地は76坪と十分な広さがあり、道路を挟んで住宅地内の公園に隣接するほか、高台の入り口にあり、視認性の高い物件だ。今年8月には解体工事も終わり、現在は更地で新たなオーナーを待っている状態となっている。注文住宅用地として販売中だ。

 インタビュー 

まちづくりへの責任、これからも尽力していく

新日本ホームズ(株) 代表取締役社長 舟木 和博 氏

 ――プロジェクトに取り組んだきっかけについて、お聞かせください。

代表取締役社長 舟木 和博 氏

 舟木 当社は北住協に加盟しておりますが、これまで市や公社と共同で、北九州市の住宅地開発に数多く関わってまいりました。開発から数十年が経過した住宅地では、住み替えを検討する方のお手伝いも行っております。これは、宅地開発から関わってきた責任であると思っていますし、そういった思いから、今回のプロジェクトにも参加させていただきました。

 ――実際に取り組まれた印象はいかがでしょうか。

 舟木 ほかのエリアと異なり1棟の空き家ですので、権利調整の難易度はそれほど高くなかったと思います。立地は高台の入り口で、街区の顔ともいえる場所なので、やりがいがありますね。注文住宅ですから、もちろんオーナーさまが決めることですが、当社は外観の美しさをデザインポリシーに掲げている会社です。良い家とは、周りから真似される家だと考えています。性能を維持しながら美しい家をつくる。それが周りに伝播するようなプロジェクトにしていきたいですね。

 ――御社が考える「美しい家」とはどのようなものですか。

 舟木 まずは外観です。重厚感のある落ちついたデザインを目指しています。具体的には、軒先のラインをそろえて重心を低くする、屋根のデザインが重要だと考えています。また、外壁には乾式タイルを採用すること多いのですが、これは九州でもトップレベルの採用数のようです。タイルは汚れにくく、劣化しにくいだけでなく、重厚感もあり、低い水平ラインとの相性も良いのです。

 当社は日本に初めて2×4工法の住宅を持ち込んだ会社、日本ホームズの九州支店から独立した会社です。日本ホームズは設立当時から、「早く安く住める」へのアンチテーゼとして、住宅に文化的側面を強調してきましたが、その設計思想は今でも大切にしています。家に愛着をもってもらうことで、住宅の資産価値は高まるはずです。家はハコではなく、暮らす場所です。当社では、モデルハウスではなく「モデルホーム」と表現していますが、それもその一端です。

 ――北九州市について、一言お願いいたします。

 舟木 空き家をはじめ課題の多いまちですが、当社にはこれまで多くの住宅をつくらせていただいた責任があります。当社だけではどうしようもできないこともありますが、空き家への取り組みは、行政と力を合わせて継続していきたいと考えています。当社ができることで、まちに貢献していきたいですね。

【永上 隼人】

<COMPANY INFORMATION>
新日本ホームズ(株)

所在地:北九州市八幡西区折尾3-3-22
設 立:1983年1月
資本金:5,000万円
TEL:093-695-2033
URL:https://www.snph.jp

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