2024年03月19日( 火 )

交通×IoTで移動に選択肢、糸島でスタートした「よかまち」(中)

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よかまち化で何が変わるのか

 交通利便性の向上を通じてはたされようとしている「よかまち」化。具体的に何が変わるのだろうか。一言でいえば生活様式、ライフスタイルが変わる。たとえば、交通課題と高齢化を内包する地域において、自家用車は必需品だ。最寄りのスーパーに買い物に行く際にも、車がないと不便だというケースは少なくない。そのため、運転に自信がもてない高齢者や、すでに運転免許証を返納した高齢者にとっては、移動の選択肢が極端に限られてしまうといった事態が起きてしまう。

 よかまち化では、利用者のニーズに応じたモビリティの配備や、IoTサービスの拡充を通じて、そうした地域が抱える交通課題の解消を図る。移動や買い物の代行を家族・知人や第三者に頼まなければならない“移動難民”になってしまった人たちに対し、移動手段の選択肢を幅広く用意することで、活動エリアの拡大と、それにともなう充実した日々の実現に寄与するのが狙いだ。

TOYOTAの超小型EV車両も配備予定

スケジュール(予定)
・2021年2月無償実証開始(5カ月間)
・2021年7月有償実証開始(3年7カ月)

左:二見ヶ浦の夫婦岩/右:多くの人で賑わうサンセットカフェ

 もちろん各種交通サービスは、地域住民だけではなく、その地域を訪れる観光客からの利用も視野に入れている。よかまちみらいプロジェクトの記念すべき第1弾の舞台として選定されたのは、福岡市西区の一部を含む糸島半島。豊かな自然が生み出す美しい景観や、山と海の幸を生かした逸品がSNSなどを通じて評判となり、19年の観光客数は約680万人に上るなど、近年は観光地として人気を博しているエリアだ。JRや高速道路を利用することで福岡市の中心部「天神」や「博多」まで40分程度と交通利便性が高いことも、人気の一因と考えられる。

 ただ、観光地として知名度が向上し、交流人口が増加したことで、住民以外にも移動に関する課題が顕在化している。たとえば、観光スポットとして知名度の高い「二見ヶ浦の夫婦岩」の周辺道路では、近接地に駐車場が少ないこともあり渋滞が頻発。散歩を楽しむ地元住民、海沿いのツーリングを楽しむロードバイク乗り、車で現地を訪れるドライバーが混在するなど、移動手段が限られていることに起因する交通課題が生まれている。

 観光スポットとしてはほかにも「芥屋の大門」や「雷山千如寺大悲王院(雷山観音)」などが点在しているが、各観光スポット間の周遊性の低さも課題となっている。糸島半島全体が観光地として活性化していくためにも、交通×IoTによるよかまち化には期待が寄せられている。

地域交通の利便性向上に貢献する取り組み

カーシェア「TOYOTA SHARE」
・会員登録無料でリーズナブルな料金設定
・スマホ1つで予約・解錠・施錠・精算まで可能
・いつでもキレイで新しく、各種安全装備付きの車両を利用できる

地域交通の利便性向上に貢献する取り組み

(つづく)

【代 源太朗】

(前)
(後)

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