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2020年12月11日 14:27

良きライバル福岡市前副市長・貞刈厚仁氏*中園政直氏~最後にはどちらが笑うか(4)業績絶好調の博多港ふ頭(株)は、都市・福岡の発展とともに歩む

香椎パークポート
香椎パークポート

 福岡市東区の香椎パークポート(以降、Aポート)をドライブしたことがある人はわかると思うが、この場所は物流トラックの往来がとても多い。それも当然である。ここでの物流が1日でもストップしたら、福岡都市圏に住む200万人の住民の生活は「破滅的」な状態に陥ってしまう。福岡都市圏だけではない。九州に住む人たちの生活にも支障をきたすこととなる。

 博多港が九州の経済・生活の下支えをする重要な役割を担っているということについて福岡市民はあまりにも無知である。この博多港を管理する博多港ふ頭(株)には福岡市が51%出資している。

 かつては門司港が、その実績を背景にして九州の港湾拠点として認識されてきた。しかし、1993年にAポートが整備されたことと都市・福岡の発展によって博多港における物流の取扱量は急増し、門司港を一気に追い抜いた。直近7期の業績推移を添付する。業績絶好調で博多座の業績とは大違いである。中園副市長の第2のビジネス人生は、スタートからツキにツイた輝かしいものになろうとしている。

博多港ふ頭(株) 業績
博多港ふ頭(株) 業績

港湾機能の躍進は90年初頭

 かつて博多港の港湾設備は質素なものであった。まずは那の津ふ頭から始まり、築港(現在の博多ふ頭)、東浜、箱崎埠頭と博多湾の東方向へと埋め立てが進んだ。73年に埋立地が売り出された箱崎埠頭の一部は木材団地に指定されていたほどで、当時、博多港の木材関連取扱高のウエイトが高かった証拠である。福岡東部ゴミ処理場が稼働するまでは原木の貯木場であったことを知る人は少なくなった。この箱崎埠頭が初めて大型物流機能を装備した区域として登場したといえる。

 そして90年になり香椎浜の埋め立てによって、さらなる沖合にAポートが誕生したことで博多港が物流港として躍進するためのインフラが整った。それとともに港湾物流を管理して主宰する組織の立ち上げが必要となる。こうして93年に博多港ふ頭(株)が設立されたのである。この会社の源は79年に遡るが、まだ次元の低い組織であったため発展的解消が求められていた。

 93年、Aポートに初めてコンテナターミナルができたのを機に、民間企業で構成する団体に新たに福岡市が出資するかたちで発足したのが、博多港ふ頭(株)であった。福岡市が51%出資の第3セクターで、残りは41%が港湾関連企業、8%が地元金融機関という株主構成となった。博多港が全国に注目され、飛躍できる物流港湾になる為のインフラ整備が完了するとともに、リード役の組織(博多港ふ頭)の立ち上げがなされた。

「中興の祖」江頭和彦氏

 博多港は物流取扱高で門司港を抜き、国内だけでなく、世界に名を広めた。その最大の功労者が江頭和彦氏であることは関係者の誰もが認知している。江頭氏は1947年生まれで、九州大学工学部卒業後、運輸省(現・国土交通省)に入省し、港湾局に配属。新潟県港湾空港局長、国交省九州地方整備局長などを経て、2006年に福岡市副市長。同年6月に博多港ふ頭の社長に就任した。この江頭氏が長年にわたり培ってきた人脈とともに豊かな構想力、組織運営力、温厚な人柄などが同社を引っ張る牽引力となり、その結果、博多港を一躍、注目される港湾にしたのである。

江頭 和彦 氏
江頭 和彦 氏

 まずは2009年1月に行った対談から引用する。江頭氏の博多港ふ頭社長就任3年目である。「業績は順調に推移している。その理由は、国際コンテナ貨物の伸びが直接、当社の経営に好影響をおよばしているからだ。もう1つは港湾の労働組合の協力が大きい。感謝している。24時間、364日体制をとっており、正月だけは休みであるが、世界が相手なので、正月にいる船があれば協議して受け入れる」。

 この談話からもわかる通り、(1)まずはコンテナの取り扱いが世界で急増していた潮流を上手につかんだこと。先見の明あり(2)労働組合からの協力を取りつけるという交渉術は本人の円満な人柄によるもの(3)元旦でも対応することを検討するという顧客本意のサービス精神発揮など、江頭氏の経営者としての卓越した才覚が表れている。

 そして「博多港の歴史は新しいのだが、日本のなかでは取扱量は6位になっている。日本を代表する港になりつつある」と語り、何気ない実績のアピールと静かな闘志=「日本を代表する港にする」という意志を持ち続けた結果、このインタビューから4年後の2013年5月に国際港湾協会から港湾環境賞金賞を授与されることとなった。この経緯を付け加えよう。

 2013年6月の取材記事から引用する。

 5月9日、アメリカ・ロサンゼルスで行われた国際港協会(IAPH)総会において、博多湾の環境に配慮した取り組みが評価され港湾環境賞金賞に輝いた。日本では初めての受賞となる。LAPHでは2年に一度、会員港の優れた活動について表彰を行っており、港湾環境賞は2013年に創設されたもの。他にも情報技術賞や港湾通信賞などがあるが、いずれも日本の港湾が受賞したことはない。世界80カ国182港で構成される同協会は、先進各国を含めた世界の工夫が集まる場である。そんな中、競合を抑えての受賞は有意義なものといえる。

 当時の江頭氏の受賞に際してのコメント。
「21世紀は環境の世紀と言われている。環境に配慮した製品は環境に配慮したロジスティックスで運ばれることが理にかなっていると思う。博多港は省エネと環境に配慮した港湾施設を目指してきた。その姿勢が評価されたのではないか」。

 短期間で博多港のブランド価値向上に貢献してきた博多港ふ頭(株)の社長に就任した中園氏の運の強さは、当連載(2)で紹介した運勢の通りである。

(つづく)

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