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2021年03月02日 16:23

若きトップと情熱を傾ける社員たち 快進撃はとどまることを知らない 九州・福岡の壮健企業100社 

(株)三和通商

培ったノウハウを活かすことで OEM事業も主軸の1つに

 創業した1986年当時、(株)三和通商は海外から輸入した衣料品などを国内で売りさばくことが主な事業だった。また、お隣の韓国から人気の化粧品を仕入れるなど、時流に乗った商売を続けてきたが、現在で数多くの自社ブランド商品をメーカーとして送り出し、ドラッグストアなど多くの量販店に商品を卸している。

 社員たちが大きなやりがいを感じているのが、自社ブランド商品の開発だ。代表取締役社長・阿部伸司氏は、社員たちがつくりたいと思うものを全面的に支援する。量販店や消費者と向き合うなかで生まれる「こんなモノがあればいい」というアイデアをどんどん実現できるのだから、社員は自ずと仕事に打ち込むようになる。

 また、そのノウハウを活かしたOEM(委託先ブランド名製造」)事業も主軸の1つだ。黒子に徹し取引先を完全バックアップしていくが、一番の強みは製造から販促までワンストップで行えること、そして社員たちが現場で培った感性だ。「当社には商品企画部はありません。全社員が一丸となって取り組みます」。ここではライバル会社との熾烈な争いを強いられることも少なくない。バイヤーが納得する商品を開発するまで、何度でもデザインの変更、仕様などの変更に取り組むという。大変だがその達成感を知っている彼らが怯むことはない。最近では顧客の要望に迅速に対応するため、営業、そしてデザイナーを追加採用した。

 「販促物も1個からつくります。お店によって売り場は違いますから販促物も違ってきます。どうしたら売れるか。自分たちが日々実践していることを惜しみなく提供しています」。

 学生時代にロサンゼルス留学していたという阿部氏。そのときは同社を手伝い、アメリカのサプリメント工場と交渉し、日本に大量に輸出する経験をした。そんな同氏から見ても、日々要求のハードルは高くなっているという。「著名人が話題の成分などを紹介すると爆発的に売れたりします。いかにその波に乗れる商品をつくるか。それが当社の仕事の醍醐味です」。大ヒット商品「なた豆すっきり歯磨き粉」では、同社自身が有名スポーツ選手のスポンサーとして名乗りを上げ、さらなる話題づくりを図っている。

国産なた豆エキス配合の歯磨き粉のなかでは、国内販売No.1を誇る「なた豆すっきり歯磨き粉」
国産なた豆エキス配合の歯磨き粉のなかでは、
国内販売No.1を誇る「なた豆すっきり歯磨き粉」

財務体質改善に取り組み 魅力的な職場を創出

 勤続20年のベテラン戦士が5名在籍、圧倒的な離職率の低さが自慢だという同社。実際、これまで一部の円満退社や寿退社以外に退職者はいないというから驚きだ。社員が職場に並々ならぬ魅力を感じていることがうかがえる。

 その要因として挙げられるのが労働環境だ。年2回のボーナスのほか、成績の良かった月ごとに特別手当が支給されるという。これは永年にわたり実行されている。また、労働時間の短縮にも取り組み、残業時間の削減や有給消化率アップに注力するなど働き方改革を進めている。

 こうしたことができる理由は、同社の業績にある。現在、29名の社員を率いる阿部氏は先代社長が急逝したことで、営業主任から突然、社長に昇格。今から約5年前、32歳の時だ。

 就任直後、阿部氏も愕然としたのが会社の経営状況だ。どんなものだったかは詳細はさておき、決して胡座をかいていられるものではなかったという。預金もなく借財ばかり、以来その体質改善に奮闘。それは今も続いているというが、そのかいあって前述の社員たちの待遇である。「健全経営になるのも後ひと息です」と、阿部氏。

数多くの話題があることも社員にとっては勢いの源になる

 さて、こうした仕事の流れのなかで、社員たちが仕事にやりがいを感じている理由は、待遇や商品開発ばかりでもなさそうだ。社内に多くの話題があることも勢いの源となる。

 最近は本社屋の2階に商談スペースとしてショールームをつくった。2000坪という広大な面積を誇る自社物流センターでは、最新のシステム&ハンディを導入して業務の簡素化を実現。今日入ってきたアルバイトでも一人前に仕事がこなせる環境を整えた。常温倉庫も完備したことで、将来的にはアウトソーシング事業も本格的に参入したいと語る阿部氏。そして、もう1つの魅力となっているのが、太陽光発電の存在だ。

 「大変大きな投資で周囲からは大反対されましたが、大きな柱になると確信があり、取り組んだものです。結果、現在は当社の大きな柱になっています。売電収入で事業計画も立てやすく、海外進出や大きな展示会の出店費用に充てています」。実際、太陽光発電所の設置は簡単なものではなかったようだ。住民交渉では自身が何度も出向き真摯な説明を重ねたという。現在、メガソーラーを含む太陽光発電所は九州各地に13カ所設置しており、その存在が同社の経営を力強く底支えする。

本社屋の2階にあるのが商品がずらりと並んだショールーム
本社屋の2階にあるのが商品がずらりと並んだショールーム

 新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、ウイルス対策グッズが品薄状態となった。こうしたなかで同社はアルコールスプレーやアルコールジェル、マスクなどを確保し販売拡大につなげた。その後、供給が安定し大量在庫を抱える企業も続出したが、同社は適切な在庫管理を行い、痛手を被らなかった。これは鳥インフルエンザの際に過剰在庫を生んでしまった経験に学んだものだ。

 加えて、柿渋がコロナに効くとメディアで取り上げられ、「なた豆すっきり柿渋歯磨き粉」が爆発的に売れた。阿部氏は一過性のことと割り切るが、これは追い風だ。中国向けの一般貿易許可(NMPA)を取得し、条件が厳しい中国への輸出を可能にしたという話題もある。これからの三和通商の舞台は世界になる。若きトップ、そして仕事にひたむきに向き合う社員たち。この快進撃、しばらくはとどまることを知らないようだ。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:阿部 伸司
所在地:福岡市早良区東入部6-1-2三和ビル
設 立:1995年9月
資本金:2,000万円
TEL:092-405-8680
URL:http://www.sanwatsusyo.co.jp


<プロフィール>
阿部 伸司
(あべ  しんじ)
1983年、福岡生まれ。立命館アジア太平洋大学経営学部卒。大学卒業と同時に同社入社。営業として約12年間その最前線で活躍していたが、父親の急逝により32歳で代表取締役に就任。趣味はゴルフ、英語堪能。大学で友人になった留学生との結びつきが、今のビジネスに活かされているという。

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