2024年05月10日( 金 )

コロナ禍の今だからこそ 企業としての「原点」を見つめ直す(前)

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CRC企業再建・承継コンサルタント(協)
代表理事 真部 敏巳 氏

 CRC企業再建・承継コンサルタント(協)では弁護士や税理士、中小企業診断士など各分野の専門家と連携し、中小企業の事業再生・事業承継支援を行っている。新型コロナウイルス感染拡大の影響により多くの中小企業が事業活動に支障をきたしている状況下、同組合の真部敏巳代表理事に今後の見通しなどについて聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)

「アフターコロナ」に備え改善・改革を

 ――「コロナ禍」で企業からの相談が増えているのでは。

CRC企業再建・承継コンサルタント(協) 代表理事 真部 敏巳 氏
CRC企業再建・承継コンサルタント(協)
代表理事 真部 敏巳 氏

 真部 いわゆる「コロナ融資」を受けた企業からの相談が10月ごろから増えてきており、年明けからはさらに増えてくるのではないかと思っています。

 私どもの顧客である中小企業経営者の方々には「今後の先行きが不透明だからこそ、コロナ融資を受けられるのであれば上限まで融資を受けてください。まずは資金を確保するのが何よりも大事です」とお伝えしています。融資を受けた後は、来るべき「アフターコロナ」に向け、融資を受けた資金を投入しての改善・改革を行うことが重要です。こうした取り組みを行う企業と、ただひたすらコロナという「嵐」が通り過ぎるのを待っているだけの企業とでは将来的に大きな差が生じてくるでしょう。

 ――「アフターコロナ」になったとき、企業はどんな選択を迫られるのでしょう。

 真部 その企業が将来にわたって事業を存続したいか否か、その1点に尽きると思っており、そこが分岐点になるのは間違いありません。とくに事業承継問題を抱えている企業はコロナを機に廃業の道を選ぶところもあるでしょう。一方、新しい時代に向けて歩んでいこうとする企業もあり、必然的に我々の両者への対応も大きく異なってきます。

 廃業を考えている経営者を説得して事業を続けさせることは難しいと言わざるを得ません。事業を続けるには我々の方で、事業を引き継ぐ後継者を探してくるしかありませんが、現実的には難しいですし、結果的に廃業を選択される可能性が高いでしょうね。

 ――政府の方針を見ていますと中小企業の数を減らそうとしている印象があります。

 真部 中小企業は生産性が低いので、大企業に集約すべきだという議論は、たしかにありますが、先ほども申し上げましたように後継者難を抱えている中小企業は数多く存在し、国が意図的に中小企業を減らそうとせずとも自然と減ってくる可能性が非常に高いと思います。

 私の持論ですが、戦時中は国が中心の時代、戦後は「CI」=「コーポレート・アイデンティティ」が中心。そして、今後は「PI」=「パーソナル・アイデンティティ」中心の時代になると考えています。私どもも会計事務所や中小企業診断士など、それぞれで事務所を構えている専門家が1つの目的のために集まっているという意味ではPIとCIを組み合わせたような組織だといえるでしょう。

 今後は日本人の働き方を変えていく必要があるというか変えざるを得ない時代になると思います。終身雇用制の崩壊が叫ばれて久しいですが、今回のコロナ禍によって、その流れに拍車がかかるのは間違いないでしょう。

(つづく)

【文・構成:新貝 竜也】


<COMPANY INFORMATION>
代表理事:真部 敏巳
所在地 :東京都千代田区神田司町2-2-7
設 立 :2001年11月


<プロフィール>
真部 敏巳
(まなべ・としみ)
1984年リクルート(住宅情報事業部)入社、92年(株)アセットパートナーズ設立、代表取締役 。2001年CRC企業再建・承継コンサルタント(協)を設立、代表理事。480社程の企業再建・承継に関わる一方、経営幹部人材の登用、養成(再生・承継)(累計1,739名が受講)を行い、再生・承継人材バンクも運営し企業経営、承継を多面的にサポートしている。

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