2024年04月25日( 木 )

中国経済新聞に学ぶ~中国の国産品がなぜブームに?(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 空気清浄機、大疆(DJI)社製のドローン「御Mavic Mini」、鍾薛高のアイスバー、花西子のシルクパウダー入りプレストパウダーなど、中国の国産品の品質が向上し続けていることを背景として、若者にとっては「国産品」こそが「トレンド」であり、国産品を買って使い、SNSでシェアする若者がどんどん増えている。この1年間、動画サイト「bilibili」(ビリビリ)では9,000万人のユーザーが国産品の動画を見ており、再生回数は累計で50億回に達した。

 国産品の飛躍には、若い世代の新たな感情面での訴求、価値観の帰属先、コミュニティ・グループのアイデンティティーも映し出されている。インターネットと一緒に成長してきた若者は、品質と個性をより重視するのだ。彼らの海外ブランドに対する態度は、かつてのような無条件の崇拝から現実的で理性的な態度へと変わった。

細分化した場面からレースに参入

 ビリビリはこのほど初めて、「China-Z 100ランキング」を発表した。ビリビリの動画クリエイターである「UP主」とユーザーの評価、サイト内のデータ、30歳以下のネットユーザーを対象に行った消費の志向に関する調査研究などを踏まえて、中国の若者がデザイン・製作した国産品の上位100種類を選出したものだ。

 同ランキングには「誕生したばかりの国産品」が多く、誕生してすぐにその分野の先行企業を追いかける役割を担う。たとえばアイスブランドの鍾薛高は、高級アイス分野に直接参入した。

 瓦のような見た目、上部には「回」の字模様が刻まれ、限定品のパッケージには「縁起の良い雲の模様」や「干支」などの中国文化のモチーフがあしらわれている。鍾薛高の登場により、中国のアイス市場の構造が変化した。

 2018年、創業からわずか8カ月の鍾薛高は「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)に参加し、天猫(tmall)のアイス類の売上高で1位になった。販売開始からの42分間でアイスバー5万本を売り上げ、この日の売上高は400億元(1元は約16.0円)を超えた。単価が66元(約1,050円)もする「エクアドル・ピンクダイヤ」シリーズ2万本が15時間で売り切れた。

 国産アイスをこのような高い値段で売って、一体誰が買うというのだろうか。百度(バイドゥ)指数プラットフォームのデータによると、鍾薛高に注目する人のうち、52.72%は20代の若者で、主に一線都市(北京・上海・広州・深圳など重要な特大都市)と二線都市(北京・上海などを除く大都市)に分布しており、ブランド側がターゲットとした利用者層と一致する。

 鍾薛高の関連部門の責任者は、「当社のターゲットとするユーザーは、主に2つのパターンに分類される。1つは、25歳から30代の高学歴で高収入のユーザー。もう1つは18~24歳の珍しいものや新しいものが好きで、暮らしを愛するユーザーだ」と述べた。

国産品発展の背後に文化的記号

 ここ数年で国産品が次々に打ち出してきた記号、イメージ、題材などをじっくりながめてみると、伝統的な文化と審美眼の復興という特徴があることがはっきりとわかる。たとえば縁起の良い雲の模様や繁体字などの文化的要素が文化の世界から飛び出し、情緒とファッション性がクロスオーバーで融合する現在のビジネスの実践のなかで、「トレンド」の概念を定義し直すとともに、「東洋の美学」に対する人々の憧れの気持ちを引き起こした。

 この意味から言っても、中国伝統の要素を取り入れたおしゃれな国産品のトレンド「国潮」ブームは経済的現象でもあれば、文化的現象でもある。消費者のニーズの変化が国産品に新たな発展の可能性を切り拓いたというなら、国産品の発展により消費者は改めて文化を追い求めるようになり、心の内なる文化への自信をかき立てられたといえる。

 阿里研究院が発表した「2020年中国消費ブランド発展報告」によれば、過去1年間に、中国人消費者のネット通販のショッピングカートに積み込まれた商品の8割以上が国産ブランドの商品だった。このように文化的な自信をもつようになったからこそ、国産品を買い、使用し、シェアすることが消費者の日常のライフスタイルになったのだという。

(つづく)


中国経済新聞を読もう

<連絡先>
(株)アジア通信社
所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂9-1-7
TEL:03-5413-7010
FAX:03-5413-0308
E-mail:china@asiahp.net
URL:http://china-keizai-shinbun.com

(後)

関連記事