伊都国の歴史に見る糸島半島の今昔(前)
活気づく糸島半島
土地区画整理事業や研究開発拠点の新設、さらには最先端の技術を活用した実証実験など、福岡市西区の一部を含む糸島半島を舞台とした都市開発の話題が尽きない。一例を挙げると、「北原・田尻土地区画整理事業」(総事業費約28億円)、「元岡地区研究開発次世代拠点形成事業」(提案価格18億2,000万円)、交通×IoTの実証実験「よかまちみらいプロジェクト」などが進行中だ。
糸島における都市開発が活発化する契機となった事由はいくつか考えられるが、やはり九州大学・伊都キャンパス誕生のインパクトは大きい。2005年9月にJR「九大学研都市駅」が、05年10月に伊都キャンパスがそれぞれ開設されると、九大関係者の通学・通勤者を中心に、まずは交流人口が増加。その後、大学機能の伊都キャンパスへの移転・集約が進むにつれて、学生向けのワンルームマンション・アパート、商業施設の建設が活発化し、伊都キャンパス立地エリアである元岡や、その近接エリアでとくに生活利便性の高いJR沿線の西都、今宿小学校区で定住人口も増加傾向が続いている(グラフ参照)。現在も開発の勢いは依然衰えておらず、前述の通り、複数のプロジェクトが進んでいる状況だ。
糸島市に視点を移すと、伊都キャンパスに通う外国人留学生や研究者の居住エリア整備を主とする「糸島市九州大学国際村構想」が目を引く。学生寮の運営などを手がけるセトル(株)が国際寮「セトルインターナショナル」(240戸)、国際ホテル「グローカルホテル糸島」(85室)を建設中で、総工費は約34億円。施工を地場ゼネコンの上村建設(株)が担当しており、セトルインターナショナルではすでに入居申込みが始まっている。グローカルホテルは、21年の開業予定だ。

糸島市の観光入込客数は、年間682万人を超える(18年速報値)。楽天(株)による一棟貸しの宿泊サービス「Rakuten STAY HOUSE × WILL STYLE糸島」の提案や、広告大手・博報堂のディレクターが糸島ブランド推進アドバイザーへ起用されるなど、話題には事欠かない。
(つづく)
【代 源太朗】