わらび座ミュージカル「北斎マンガ」特設ページ
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2021年01月27日 17:53

『脊振の自然に魅せられて』大雪の脊振山へ(後)

 脊振山頂駐車場に停めた愛車の車内で、粉末の即席ぜんざいをコップに入れ湯を注ぐ。コンビニで買ったソフトパンを頬張り、ぜんざいとともにお腹に流し込んだ。

 ようやくエネルギーの補給ができたので、一息ついて、スキーの準備をする。この真下にある野球場ほどの広さのある大きなキャンプ場まで、およそ50mの坂道となっているので、スキーを楽しもうと考えてスキー用具を用意してきた。

 登山靴からスキーブーツに履き替え、スキー用のヘルメットを付けてスキーの準備をする。ストレッチを済ませて、スキーで坂道の滑降を試みた。5m幅の坂道を直滑降で滑ると、冷気が体を冷やし心地よい。広場へ続く狭いカーブを曲がると、雪深い広場となったキャンプ場にスキー板が沈んで止まった。

 雪が積もった広場では、子ども2人が「かまくら」をつくって楽しそうに遊んでいた。雪が50cmも降り積もっているので、かまくらはすぐに出来上がりそうであった。滑り終わったスキー板を外し、ストックを左手に持って杖代わりにして、板を右肩に担いで坂道を登った。坂道を登ると、スキーでまた滑った。

 「きつくありませんか」と雪を見にきていた人が、筆者に声をかけた。初心者向けのスキーの指導で、いつもやっていることである。筆者は「楽しいですよ」と答えた。3回滑った今回のスキーが、筆者にとって今年の初スキーとなった。

 一息ついて、椎原峠方面に続く縦走路でスキーを試みることにした。脊振神社方面へ続く脊振林道へ車を移動し、積雪のある路肩に車を停車した。何度か車を後進や前進させて雪を固め、駐車スペースをつくった。車から降りようとしてドアを開けると、ドアにあたるほど雪が深く積もっていた。

 気象レーダーに続くこの舗装道路は、椎原峠方面への縦走路となっている。再びスキーを準備して、雪深い縦走路へ入る。新雪は50cmも降り積もり、雪の中にスキー板が沈む。先ほど出会った登山者らの足跡が直線となり続いていた。足跡の上にスキー板を乗せるとスキー走行も楽だろうと考えた。

福岡県と佐賀県の県境の道路標識 脊振山――椎原峠への縦走路を歩いた足跡が見える(左下)
福岡県と佐賀県の県境の道路標識
脊振山――椎原峠への縦走路を歩いた足跡が見える(左下)

 100mほど進んでみたが、傾斜がないためスキーが滑らず、無理をせずに戻ることにした。ゲレンデ用のスキー板では深雪の上を滑ることはできなかったのだ。戻ろうとすると、スキー板が雪に埋もれて方向転換もままならず、筆者はバランスを崩して雪のなかに転倒した。

 「起きられるだろうか」と感じたが、何とか体勢を整えてビンディング(スキーブーツをスキー板に固定する金具)をストックで押し、スキーブーツをスキー板から外した。

 スキー板を斜めになるように雪に差し込み、スキーブーツを再びビンディングに固定する。スキー板を平面に置くと雪に埋もれてブーツを固定できないが、この動作をスキー場で何度も練習してきた甲斐がありようやく固定できた。脊振の美しい雪景色に感動を覚えながらも、悪戦苦闘しながら雪道を進んだ。

 そうこうしているうちに、ようやく気象レーダーのゲートへ戻ることができた。スキー板を外して車に仕舞った。脊振神社で初詣をしようと考えて、雪の積もった脊振林道を佐賀県神埼市脊振町の脊振神社へと下った。

 カーブが続く雪道を車で下って行くと、先ほどすれ違った軽自動車の4輪駆動車(軽自動車の4WD)4台のうち1台が雪道の側溝に片輪を落とし、仲間が引き上げる作業をしていた。スコップも装備していたので、おそらく慣れているのだろう。

 雪道を下るにつれて、佐賀方面から次々に4輪駆動車が登ってくるのが見えた。脊振山の雪景色を昼から楽しみにきたのであろう。対向車を慎重に避けながら下った。

 15分ほど雪道を走ると脊振神社に着いた。神社の駐車場で雪を被った車が2台、止まっていた。雪深い駐車場に車を入れると、グーグーとタイヤが雪を踏みしめる音がする。何度かハンドルを切返して、駐車スペースに駐車することができた。

雪景色の脊振神社(佐賀県神埼市脊振町)

 雪に覆われた脊振神社は静かだった。雪の積もった長い階段を登り、神社に着くと、狛犬も雪を被り、氷柱をつけていて寒そうであった。「家族の健康と新型コロナが早く収束する願いを込め」て、おまいりする。参詣を終え、長い階段を下り始めると、初詣に訪れた中年の夫婦とすれ違った。

 階段を下り神社を遠目に見上げると、先程の夫婦がおまいりをしている姿が見えた。この日、背振神社にまいりに訪れる人はほかにおらず、静かな雪景色のなかでの光景であった。川端康成の小説『雪国』の冒頭の「長い国境(くにざかい)のトンネルを抜けると雪国であった」という一文が頭に浮かんだ。

 一面の銀世界となった三瀬村の雪道の走行は快適であり、有料の三瀬トンネルを利用して帰り道を急ぎ、福岡の自宅へ向かった。帰宅時間は午後2時ちょうどであった。マンションの駐車場に積もった雪はすでに解けており、子どもたちがソリ遊びをしていた姿もすでになかった。

 久しぶりに雪景色を堪能した1日となった。

(了)

2021年1月23日
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行

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